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シンデルマジカ


「危ねえことをするじゃねえか、ガキ」

「純然たる一般庶民の僕を殺そうとするあなたの方が、よっぽど危ないと思うけど」

「うるせえ。死ね」


 男の背後で、あの黒い鎌が持ち上がる。

 だけど、僕の勝ちだ。


「……ありがとう」

「あ?」


 男が顔をしかめる。


「今まで僕を殺さないでいてくれて、ありがとう」

「はっ、懺悔ってわけかい? 同情はしねえぜ、殺人鬼」

「いや、同情してるのは僕の方(・・・・・・・・・・)だ。僕のような底辺クソザコゴミクズ人間に逢わなきゃ、あなたももう少し長生きできたかもしれないのに」

「何?」

「僕が生まれた時から不幸だったのと同じように、あなたもなかなか運がなかったってことさ」

「なんだと?」

「これ以上おしゃべりしても時間の無駄(・・・・・)だよ。あなたは時間の無駄が嫌いなんだろ? それに……」

「!」


 男の全身から血が噴き出る。

 その背中には、あの黒い鎌が突き刺さっていた。

 そして、その鎌は、僕の背中から伸びていた。


「よく言うじゃん、死人に口なしってね」


 男は、自分の血の中に沈んでいった。

 さっきまで僕を追い詰めていた男が。


 男が使っていたこの能力は、一撃で敵を即死させられる。

 これこそ僕の望んだ能力だ。

 【死線(デッドライン)】と名付けよう。

 

 ……だけど。

 だけど、これは嫌な能力だ。


 僕は今まで、何度も死にながら、僕を何度も殺してきた相手を倒してきた。

 この能力は、そういう僕の必死の努力を無意味なものにしてしまう。

 平等に、簡単に、簡潔に他人を殺してしまう。

 何の理由もなく。

 はっきり言って、セコいんだよな。

 それに、このキャラがいまいち安定していない男が使っていた能力っていうのも気に入らない。

 できるだけ封印しておこう。


 僕は、目の前にできた血だまりに背を向け、ミアの待つ部屋に向かった。

 彼女は本当にパンツを見せてくれるのだろうか?



※※※



「え? 嫌だけど」

「あ、やっぱり?」


 土下座までしたけど、ミアはパンツを見せてはくれなかった。

 クソ、そこまで言うならいいよ! 別に僕もミアのパンツにそこまでの価値を見出してないよ!


「…………」

「ど、どうしたのミア。急に僕を睨んだりなんかしちゃって」

「えーくん、何か私に失礼なこと思ってないかしら」

「別にそんな、ミアのパンツなんかよく考えたら全然興味なかったとか思ってないし!」

「…………」


 キリキリキリ。

 と、音がしそうなくらいミアの視線が鋭くなる。


 かと思えばいきなり立ち上がり、


「いいわ。見せてあげる、私のパンツ」




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