すぐ死ぬんだけど生き返りさえすれば関係ないよねっ!
そして、また生き返った。
あの黒い鎌が再び目の前に迫る。
僕は最初と同じように、全力で回避した。
ラッキーなことに鎌は僕に掠りもしなかった。
というか、掠ってたら死んでた。危ない。
すぐ敵に背を向け、建物の影に隠れる。
どうしたらいい?
「ミア、どうしよう。敵がめちゃくちゃ強いんだけど」
ミアの声はすぐに返って来た。
『それは分かってる。身体的なステータスはえーくんとあまり変わらないけれど、敵のスキルが強力すぎるみたいね』
「敵のスキルの正体、分かる?」
『残念ながら、私の【開示】ではそこまで分からないの』
「だと思った」
『だけど、敵の攻撃は遠隔操作型みたいだわ。相手は動いてないのに、周囲の魔力が変動してる。それから……妙だわ』
「何? パンツ履き忘れてた?」
『バカ、ちゃんと履いてるわよ。そうじゃなくて、敵の周囲の物体が、徐々に崩壊しているの』
「崩壊?」
僕の頭に浮かんだのは、あの錆びついて壊れたナイフだった。
「おいおい、逃げるなよ。長引くだろ」
男の足音が僕の方に近づいて来る。
鎌。
崩壊。
死。
なんかピンときた。
もしかして、そういうことなのか?
僕はナイフを構え、建物の影から飛び出した。
男は案外近くにいた。
この距離なら刺せる。
だけど、僕のやることはいつだってうまくいかない。
物陰を飛び出した瞬間に、男の鎌が僕の体を引き裂いていた。
再び体中から血があふれ出し、僕は地面に倒れこんだ。
男の足元では、舗装された道路がグズグズに風化し始めていた。
「飛び出してきたと思ったら、呆気ないぜ」
だけど、これでようやく分かった。
相手の能力。
それは、触れたものを殺す能力だ。
人に触れれば、その肉体を。
ナイフに触れれば、その切れ味を。
道路に触れれば、その強度を。
万物の命に当たる部分を破壊するスキル。
あーあ、それってさ。
僕が欲しかったようなやつじゃん。
本当は僕のスキルって、そういうやつじゃなかったの?
なんで僕のは自分を殺すスキルなの?
なんで向こうのは他人を殺すスキルなの?
不平等だ……。
そして相手は貰ったスキルがたまたま強かっただけで人生勝ち組だ。
僕と相手に、本質的な違いはないだろうに。
なんかイライラして、僕は最後の力を振り絞り、右手のナイフを男に向かって投げた。
ナイフは、男に吸い寄せられるように飛んでいき、そして男の鎌にはじき返され、砕け散った。
同時に、僕の命も尽きた。




