横難横死と笑えない雑魚。 その⑦
「こないならこっちからいくんだよ、お兄様」
ツヴァイちゃんが接近してくる。
「……【粉砕】!」
ツヴァイちゃんと拳を、カウンターで弾く。
「ううっ……っ!」
呻くツヴァイちゃん。
その隙を狙って、僕は【切断】を放った。
周辺の草木ごとツヴァイちゃんの体が真っ二つになる―—が、数秒もしないうちに元通りになる。
いや、おかしい。
妙だ。
「うごきがとまってるんだよ、お兄様!」
「!」
咄嗟に後ろへ跳んだ僕の目の前に、あの鉛の球が降ってくる。
鉛の球は地面に突き刺さり、その周辺を凹ませた。
……凹ませた?
何かがおかしい。
「さっさと死んでほしいんだよ!」
ツヴァイちゃんの周囲に刃が形成され、それが僕へ放たれる。
僕はそれを同じ【切断】で相殺する。
やっぱり変だ。
【切断】が見えるのはおかしい。
多分、僕は何か大きな勘違いをしている。
ツヴァイちゃん。
僕のコピー。
だけど彼女は、本当に僕のコピーなのか?
「ツヴァイちゃん……」
「なんなんだよ、お兄様?」
「君のスキルは、本当にスキルなの?」
「どういう意味なんだよ?」
「だからさ、君は僕のコピーだって言ってるけど……本当に僕そのものなのか、それとも僕を真似た別物なのか、どっちなんだって訊いてるんだよ」
「そんなの、生きのこった方がほんものにきまってるんだよ! 【殺戮劇場】!」
ツヴァイちゃんが空中に形成した刃と鉛の球の大軍で僕を襲う。
だけど。
僕の予想が正しいなら。
「【切断】と、【追尾】!」
僕は、僕の周囲に刃の防御網を張った。
ツヴァイちゃんの攻撃が次々と切り裂かれていく。
「う、うそ、ありえないんだよ!」
「いや、死なないからだっていうのも相当ありえないと思うけど」
「むっ……」
「とにかくまあ、これで分かった。君のスキルはスキルであってスキルじゃない」
【貫通】は万物を貫通する鉛の球を操作するスキル。
【切断】は見えない刃を形成し発射するスキル。
ツヴァイちゃんのそれは、似て非なるものだった。
だから、本来【切断】で切り裂けないはずの【貫通】も切り裂けた。
「さてとツヴァイちゃん、君の技は見切ったぜ」




