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宿題

巨大な水の流れはルマとアレン先生の居た場所で留まるように渦を巻いた。

まるで竜巻だ、激しい水が打ちつける。

「逃げなさい!早く!」

渦の中から先生の声がする。

良かった、生きてる!

ルマも無事なのかな?


誰かが僕の手を引く。

リアス、どうして?

ルマはあそこに居るんだ、僕は・・・。

ルマを助け出さなきゃ。


「下がっていなさい」

僕とリアスを強引に背後に押しやり、その人は嵐の中に入っていった。

水は避けるようにその人を中へ導いた。

「ルマ!」

一瞬見えた嵐の中に、うつろな顔をしたルマが・・・!

僕はただ、見ている事しか出来なかったんだ。


ルマと先生たちを中心に円を描いていた水流は、

少しずつ下流へ水を送り、そして小さくなっていった。

ルマは二人の先生に支えられ気を失っているようだ。

二人の先生、そう、一人はアレン先生。

もう一人は入学式の日に見た白髪交じりの先生で、

ショーン・ロカフェ先生だって、後でリアスが教えてくれた。


「いつかこんな事になるだろうと、監視していたのです」

「あれは一体なんなんだ?」

気を失ったルマを見守る僕の側で、二人の先生の言葉が行き交っていた。

「答えろ、お前達の目的を。どうして子供たちを争わせる」

「あれは・・・、罪なのです。力を持った人間の、そして我々自身の」

「分かるように話せ」

たき火がパチリと音を立てる、アレン先生がおこしてくれた火。

ルマの頬と髪をオレンジ色に染めている。


「かつては我々も自然と共に生き、そしてその力を借りていたのです。しかしあの出来事が起こった・・・」

「あの出来事とは・・・?」

「天災です、自然の荒ぶる力。我々には扱いきれない凶暴で巨大な、意志のない大きすぎるエネルギーと言えばいいでしょうか」

「もしかして・・・」

「我々はその力を封印した。いや、そもそも扱い切れるものではなかった。だから、力ある子供たちを閉じ込めて。人の魔力だけを奪い合うように仕向けたのです」

うう・・・、ルマが小さく声を上げる。

「ルマ!大丈夫だよ」

どうして・・・、どうしてルマがこんな目に会わなくちゃいけないんだ。


「お前達はずっと答えなかったな、魔王とはなんなのか。もしやさっきのあれが・・・?」

「・・・あんな程度のものでは」

「その事故とやらに人は関わっているのか?その時、強大な力を持った人間はどうなっ」

「あれはもう人ではない!」

ショーン先生の鋭い声に、ルマが僅かに目を開く。

「ルマ、ごめん・・・!」

僕の中で何かの感情があふれ出していた。


「あなたも見たでしょう、あの時のこの少女の目を。あれは力そのもの、生命、いや存在そのもの」

「なぜそんな事が・・・」

「明確には分かっていません。しかしここまで知ってしまった以上、あなたにも協力して貰います」

「何をだ?」

誰かが置いていった乾いたローブの下から、ルマが静かに僕に手を伸ばす。

その手を握り締めると、安心したようにまた眠りに落ちる。

「ルマ・・・」

そして僕は誓う。

君を守りきれるぐらい、僕はきっと強くなる。


「人は力を求める、この子らのように。それが良い目的であれ、悪い目的であれ。そして力は必ず何かの結果を作るのです、取り返しのつかないような何かを・・・」

「私に何が出来る」

「今までは非公式でしたが。ルーザーズ、あなたたちを正式に学園の一部とします。我々が目を逸らし続けていたものと、向き合う時が来たのです」

「その選択が間違っていたら?向き合うことすら出来ないものだったとしたら・・・?」

「どうしてあなたが気弱になっているのです?まぁ、あんなものを見てしまっては仕方がないですか」

「・・・」

「私達は問われているのです、そのあり方を」

「分かった、協力しよう」

「ありがとう。10年後もまた、同じ感謝の言葉が送れるといいのですが」



その後、どれぐらい時間が経ったろう。

ルマが目を覚ました、ひどく弱っている。

あの時のことを聞くと、

「子供の頃の私とあなたで、水遊びをして遊んでいるようだった」

とかすれた声で言った。

握ったままの手を見られ、慌てて放そうとすると。

「暖かいから握っていて」

と消えそうな声で。

よく通る君の澄んだ声が聞きたい・・・。


僕はこの子を守れるだろうか、

そんな力を手に入れられるだろうか。

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