学園へ
「来たれ!王国を救う大魔法使い」
魔法学園サウスブロンクス。
そこはかつて魔王を倒した英雄が建てたと言われる学園。
最も優秀な魔法使いや、才能ある者が集められる由緒ある学園だ。
そこに、なんの手違いか田舎町の僕のところにも招待状が届いてしまった。
「うわー、凄い数の馬車」
駅から出ると道路を埋め尽くす馬車の数と、魔法衣を身にまとった高貴な方たちの姿に目がくらむ。
「えっと・・・、学園行きの馬車はっと」
しわくちゃになった手紙をポケットから取り出す、手放すと夢みたいに消えてしまうんじゃないかとずっと握り締めていたこの手紙。
うん、まだ消えてない。
「駅を出て・・・、こっちかな?うわっ」
背後から突き飛ばされる、道の真ん中で止まるなって言われてたのに。
「ぼーっとしてんじゃねぇよ、この田舎者!」
「ご、ごめんな・・・さい」
「ひゃー、イモくせぇ!」
あざ笑う顔が通り過ぎていく。
整った髪、綺麗な制服とローブ。その胸にBのイニシャル。
あれは・・・、サウスブロンクスの制服。
それに比べて僕は、すそを切り詰めた父の一張羅。大きさだって合ってない。
本当に、僕はここに来て良かったんだろうか・・・?
父さんの言葉が胸にこだまする。
「田舎者だからって何も恥じる事はない。お前は選ばれたんだ、胸張っていい」
うん。そうだ、大丈夫。
僕にだってちゃんと招待状が届い・・・た?
「あ、てっ手紙!」
ぶつかった拍子に手から落ちてしまった、どこだ?見つからない。もしかして、いや、やっぱり夢だったのかな・・・。
「落ちてたよ」
「手紙!あっ、そうじゃなくて。ありがとう!」
しわくちゃのそれを受け取り、顔を上げると女の子と目が合った。
大きな目、少し悲しげな。そして真綿のような肌。
それとは対照的に、黒く長い髪。
赤地に白い刺繍の入ったローブを着ている。
「あ・・・あっ!」
手紙をかっさらうようにポケットにねじ込む。
あれ?恥ずかしがるような事じゃないのに。
何度も頭を下げて立ち去ろうとする僕、どうしちゃったんだ。胸が高鳴る。
「あなたも学園へ行くんでしょ?そっちじゃないわ」
「へ?」
なぜか駅の中へ戻ろうとしていた僕は、そのよく通る声で立ち止る。




