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ひ、久々投稿です
その上、短いです。
生活環境の変化で全然投稿できませんでした。
これからも亀更新ですが続けていきますので、よろしくお願いいたします。
あれからわたくしは悩みに悩んだ。
しかし、答えは出ずに数日経った。
このまま一人では答えは出ないだろうと、先触れをだし、とある家を訪ねた。
「いらっしゃい」
にっこりと微笑む優しい顔立ちの女性。
相談しづらいことも相談しようと思えるくらい聞き上手で安心できる相手。
「お久しぶりです。レオナお義姉様」
兄の婚約者であり、私にとって実の姉のような存在のレオノーラ・オルグレン。
「あらあら。そんな顔を見るのはいつ以来でしょうね?」
目じりを下げて言うお義姉様を見てほっとする。
「ごめんなさい、お義姉様。久々にお会いするのにこんな顔で、でも」
「いいのよ。妹から本当に困っているときに相談してもらえるなんて嬉しいことなんだから」
さぁ、中に入りましょう。と促すお義姉様に従って屋敷へと入っていく。
いつもならばサンルームなどに通されるが、今日はお義姉様の部屋に案内された。
「人払いはしてあるから、安心して話してちょうだい」
にっこりとほほ笑むお義姉様に、一生敵わないのだろうなとふと思う。
そしてこれまでの経緯を話し始める。
「アッカー家のジェラルド様に求婚されました。そして王太子であるマクシミリアン様からも。……お義姉様、わたくしは分からないのです。恋情とはなんでしょう? 愛情とはなんなのでしょう? わたくしには分からないのです。家にとって良い縁を結ぶのが貴族令嬢の務めでしょう? ですが、お父様もお母様もお兄様も、そんなものは二の次だと仰るのです。わたくしのような立場からしたら夢のようなことでしょう。ですが……」
「家のための縁を紡ぐつもりだったあなたからしたら、困ることだったのね」
「はい。お父様たちがそうは仰っていたとしても、より良い条件の方を選ぶつもりでした。わたくしが王家の盾となり剣となることを許容してくださる方を。そんなわたくしにとってジェラルド様はこれ以上ない方でしたわ」
「でも王家からの婚姻の申し込みがあった。しかも王太子殿下たっての願いとあっては考えざるを得ない、というわけね」
「はい……。あの……、お義姉様はなぜお兄様を選ばれたのですか?」
そうねぇと考え込むお義姉様。
すべてを話しきったわたくしは、ここについた当初よりは落ち着いていた。
人に話すということは大切であるというのは本当らしい。
「あなたのお兄様とならば並んで歩いて行けると思ったからかしら?」
「歩いて?」
「私は特別美人でもないし、器用でもない。要領よく事を成せるわけでもないし、家柄だって貴族の中では中の中。そんな私をルーフォは欠点のない、攻撃されるところのない人だねって言ってくれたのよ。自分はいろんな人からいろんな意味で攻撃されやすい立場にいるから、君みたいな人とだったらこれから先歩いて行けるのになって。それを聞いてね、あぁ素敵な考え方をしてくれる方だなって思ったの」
「お兄様が……」
「恋愛はお互いの世界だけ作っていればいいわ。そこには他人を入れる余地もないし、入れる必要もない、自由なものだと思うの。けど結婚は違う。あなたが言ったように縁を繋いでいくもの。繋ぎ続けなければならないの。だから周りを見なければいけない。けれど、それは一人ではなく、二人で一緒になってしていくことよ。手を取り合って協力して、そうして繋いで、その先を紡いでいくの。これが結婚できる愛だと思うわ」
「結婚できる愛?」
「えぇ。愛とはいっても一つじゃないでしょう?恋愛、親からの愛、穏やかな、相手に幸せになってほしいという愛だって愛だわ。相手を幸せにしたいと思うのも愛。でもね、結婚という一点においては一緒に歩いて行ける愛が必要なのよ。そうね。覚悟といってもいいわ。家と家を繋ぐ以上、自分たちの関係次第で家同士の関係だってよくもなれば悪くもなるんですもの」
覚悟という言葉はわたくしの中でしっくりときた。
「こんな説明でいいかしら?」
感情を言葉にするって難しいわね。と苦笑する義姉はいつも以上に強く美しく見えた。
「お義姉様。わたくしはいまだにどちらを選ぶか決められません。ですが、わたくしが覚悟をもって向き合える方と結婚いたしますわ」
「えぇ。そうして頂戴」
にっこりとほほ笑みあう。
アイリーンの顔から憂いが消えているのを見て、レオノーラは安堵した。
「さて、もう少しゆっくりしていくといいわ。ほかにもお話したいもの」
「はい。お義姉様」
二人は時間が許す限り、話に花を咲かせた。
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