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番外編 家族で修学旅行 (前編)

番外編です。

さくらが高校生になる前。中学三年生の頃のお話です(^∇^)★

中三の秋の最大のイベント、修学旅行。京都二泊三日。

・・・それなのに、私は風邪を引いた。

一生の不覚・・・!

高熱にぼんやりしながら、ちょっと布団の中で泣いちゃった。

だって、楽しみにしてたんだもん・・。

秋斗君とは三年になってクラスが分かれちゃったから、一緒に行動するのは難しいだろうけど、時間を合わせて会えたらいいねとか話してたのに。

ネットで事前調査して、グループの子とどこに行こうか計画してたのに。

よりによってこんな時に熱を出すなんてー・・


秋斗君も美穂も香奈も詩織もお土産を買って来てくれて、びっくりした。

クラスが一緒だった香奈が持ってきてくれた宿題とかお知らせのプリントの裏には、クラスのみんなから励ましのコメントがびっしり。

『風邪、早く治せよー』『一緒に行きたかったのに残念!』

『おみやげあるから学校で食べよ』『写真、見てね!』寄せ書き状態。

みんな、ありがとう・・!

中には、京都のどこかで引いたらしいおみくじを貼ってくれてる子もいて笑った。大吉だし。

『大人になったらアキトに連れてってもらって二人で行けよ』なんて文も。

一緒に見てた秋斗君が、そうしようか、なんて言ってくれるから嬉しくなった。



すっかり風邪も治った次の日曜日。

パパが急に言った。

「さ来週の土日で京都に行くぞ。俊明さんとももう相談済みだ」

私のポカンと開いた口をパパがむにっとつまむ。

ちなみに俊明さんってのは秋斗君のお父さんの名前。

「秋斗君と、行きたかったんだろ?」

にやっと笑うパパ。感極まって私はパパに抱きついた。

「ありがとう、パパ! うれしい!」

「おう、任せとけ。かわいいなあ、さくらは」

パパは私を抱きしめたままグルグル回し始める。

ちょ、パパ! 中三になってそういうのは恥ずかしいから!



*****


京都はとにかく人が多くて、どこもかしこも人人人・・・。圧倒されちゃう。

迷子にならないようにって秋斗君が手を繋いでくれた。

えへへ。修学旅行より、いいかも。ずっと一緒に観光できるし。


なぜかパパと俊明さんはお土産屋さんで木刀を見た時から、幕末の武士がどうとか新撰組がどうとか歴史の話で盛り上がってた。

ママと、秋斗君のお母さん、弥生さんは、生八つ橋を買いたい、ソフトクリームも食べたい、とか食べ物の話できゃっきゃと楽しそう。

はるにいは別行動をしたり一緒にお店を見たり、自由気ままにブラついてた。


色んなお寺とか、ガイドブックに載ってる有名な場所を回って、お土産屋さんも見て、写真もいっぱい撮った。

美味しいものも買い食いして、超満喫。楽しい!

美穂や香奈や詩織、クラスのみんなにもお土産を買って、秋斗君ともストラップをお揃いで買った。嬉しくて顔がニヤけちゃう。



宿泊先はちょっと趣のある民宿。

京都の古民家って感じで、とても素敵なところ。

夕方、みんなでおいしい夕食を食べ終わってまったりしていると、パパが温泉に行くぞ!と張り切って用意しだした。

はるにいが浴衣をみんなに渡しながら秋斗君をつつく。

「おい、アキト、知ってるか? ここ、貸し切り温泉で有名なんだぜ?

さくらと二人で入ってこればー?」

「なっ!?」

「ちょっ、はるにい!」

にししと意地悪く笑うはるにい。一瞬で真っ赤になった秋斗君。

きっと私も同じ。


「コラ! 許さんぞ! 父の目の前で・・」

「は、入りませんよ!」「ちょっと、パパまで何言ってんの!?」

「いやあ青春だねえ、アキト。真っ赤になっちゃって。ナニ想像したんだよ?」

「ハル先輩、もう黙って!」「おい、コラ、人の娘を勝手に・・」

「もうパパ、早く温泉行って来てよ!」

なんか一気に騒がしくなった。昔はクールだったパパも、三年前からはすっかり親ばか娘ばかで、たまに秋斗君にからんでる。すごい楽しそうに。


「僕らは後で貸し切り風呂入ろうか、弥生」「まあ、すてきねぇ」

わいわい騒いでる後ろで、穏やかな高木夫婦の声。秋斗君が前、言ってたように秋斗君のご両親は何気に人前でもくっついてるし、ラブラブ。


そんな二人を見て何を思ったのか、パパもママに笑顔を向ける。

「じゃあ、俺らもその後で入ろう、まり」

「な?なななな、なに言ってるの! カズキさんったら!」

「いいじゃん、夫婦なんだから」

真っ赤になるママと、それを嬉しそうに抱き寄せるパパ。

・・・もう、勝手にやってよ。


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