表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/55

4 弓道部

四月最後の土曜日、私達弓道部は合同練習で坂西高校にやってきた。

うちの部は部員数も六人という少なさ。普段の練習も、二つしか的がない小さな小さな稽古場でやっている。

せっかく弓道場を作るならもっと広いのを作ってくれればいいのに、この部ができた当初から、部員数は少なかったらしい。ちなみに新入部員は私と、クラスメイトで仲良くなった陽菜(ひな)ちゃん。

私達が入らなかったら廃部になってたらしくて、ものすごい歓迎してもらった。


月に二回、坂西高校の弓道部の練習に交ぜてもらうんだそうだ。

今日は私と陽菜ちゃんは初めての合同練習。

坂西高の弓道場はとても広くて驚いた。

それに向こうの新入部員に同じ中学の詩織と香奈がいたのにもビックリ。

とは言え、私に弓道を勧めてくれたのはこの二人なんだから当然か。




中学生の時、私は部活は入ってなくて帰宅部だった。

家事もあったし、なんだか色々余裕もなくて。

ママが家に居てくれる時間が長くなって、私に自由な時間が増えた。

で。部活に入ろうかなと思ったんなだけど、いざとなると、じゃあ何の部活に入るか、すごく悩んだ。

厳しい部活に入るとだいぶ時間も拘束されちゃうし、家でママと過ごす時間も大事にしたかったし。

結局、手芸部とかお料理クラブにちょくちょく参加させてもらってた。

どちらの部もわりとユルくて、女の子同士でおしゃべりしながらの和気あいあいとした活動で、とっても楽しかった。


高校では何か新しいことを始めてみたいなって思ってたら、詩織達が弓道部は?

ってお勧めしてくれた。

なんでも、集中力とか、強い精神が身につくよって。本当かな。

まだ習い始めたばかりで覚えることが多いけど、陽菜ちゃんも先輩も良い人ばかりでとても楽しんでる。




坂西高の人達と昼前の三時間みっちり練習して、ようやくお昼休み。

昼からは、三年の先輩方が、会議という名のおしゃべり会を開いてから練習をするらしくて、私達は二時間もの休憩時間が与えられた。二時間なにしようって思ったけど詩織達もいるなら、ご飯食べておしゃべりしてたらすぐだね。


詩織達と四人で制服に着替えて学食に連れて来てもらった。

坂西高校は部活動が盛んだから、土曜日も購買や学食が開いてるんだって。

すごい。

エビピラフとサラダをお盆にもらって、席に座る。

久しぶりでも変わってなくてノリのいい二人に思わず口元が緩む。

陽菜ちゃんもすぐに二人と仲良くなっておしゃべりが盛り上がった。


「さくら、アキトとは相変わらずらぶらぶなの?」

香奈がいきなり話題をそっち方面に振った。

「えー! さくらちゃん、彼氏いるの? そんな話、まだ聞いてなーいっ!」

「だめよ、ヒナ。さくらは恋愛関係、超ウブだから、つつかないと何にも白状しないの。いいでしょ、聞いても。ね、どうなの?」

「聞きたい聞きたい! さくらちゃん!」

陽菜ちゃんまで香奈と一緒になって迫ってくる。


「相変わらずだって、ミホから聞いてるわ。ほのぼのらぶらぶカップルだって」

私の代わりに詩織がラーメンの最後の汁をぐいっと飲み干してけろりと答えた。

「わあ、そうなの? ねね、どんな人? どんな人?」

陽菜ちゃんの目がキラキラと輝いている。興味津々って瞳に書いてあるよ!


「あ! 噂をすれば、あれはサッカー部の集団じゃない?」

香奈が指さす方を見ると、入り口の方に青と白のジャージの男の子たちが大勢、ワイワイ入って来た。

その中に、秋斗を発見。

こういう場面で会うと、いつもと違って見えるなーなんて。

意味もなくドキドキ緊張しちゃう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ