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2 恋愛相談

「美穂、彼とのお付き合いは順調?」

「もっちろん。まだ付き合って二週間だし、ラブラブよー」

「美穂はさ、その、ヤキモチとかって妬く?」

「あたし? しょっっちゅう! だってシュウジはサッカー部のエースだから、試合でも黄色い声援が飛び交ってるしさあ。もうあたしはその度にいっつもプンプンしてるわよ」

「怒るの? だって応援してくれてるんでしょ? その子達も」

「だってー、シュウジのこと、独り占めしたいじゃないっ!好きなんだもん!」

ホウキをぶんぶん振り回して、やや大きめな声で叫ぶ美穂。

なんか、恋する乙女なオーラが出てる。

カワイイなあ、美穂。


「・・・そっかー。私に足りないのは、そういうのかなあ」

私が一人で納得してると美穂が何なに何なのーって突っ突いてくる。


「あのね、・・・秋斗はね、けっこう妬いてくれるんだ。ヤキモチ」

「まあアキトが妬くのは当然じゃない? さくらモテるし。 この前の練習試合の時なんか、アキトの彼女がめちゃめちゃ可愛いっ、とかってサッカー部員どもに囲まれて大騒ぎになったもんね」

「・・・あー、う、うん。あれはビビっちゃった」

思い出して、背筋がぶるっとした。集団の男子ってちょっとコワイ。



二週間前、初めての練習試合があるって秋斗から聞いて、坂西高校に行った。

美穂は「いいオトコを見つけに行く! 応援に行こ!」って張り切りながら。

まあそれでホントに今の彼を見つけたんだから美穂はやっぱりすごいんだけど。


それで、練習の前、秋斗に「がんばってね」って声を掛けたら、横にいた秋斗の友達が、ギラっ!て目を見開いて。

「アキトの彼女? やっべー、めっちゃ可愛いじゃん!

おい、 みんなっ! 大変だーっ!」

って大声でみんなを呼んだからもう大変。

「うるせー、お前ら、来なくていいから! あ、こら! 人の彼女に気安く話しかけるな! あっち行けよ!」

秋斗が慌てて追い払うもすでに遅く。

どんどん人が集まっちゃって大騒ぎになった。その後で監督に怒られてた。


そんで、その次のデートの時、秋斗はちょっと拗ねた顔して私に言った。

「さくらは女子校でよかった。可愛い彼女を持つと心配でしょうがないよ」

って。だから私も、こう返した。

「でも秋斗も今、モテてるでしょ? 昨日も応援してくれる子、来てたし」


そしたら秋斗は、ちょっと腕組みをして、かるーくため息をついた。

「・・さくらって、やきもちとか妬かないよなー」

「うん? そう、かな?」

「そうだよ。いっつもおれが妬くばっかりでさ。さくらはまだまだおれへの愛情が足りないってことですよ。あーあ。冷たいなあー」

そんなことを言った。


もちろん秋斗の口調は冗談交じりで、決して私を責めてるようなことはないんだけど、私は正直ショックだった。ちょっとでもそんな風に思われてたなんて。




そんなことを思い出しながら、美穂とその場に座り込んだ。

「・・・秋斗が、私はやきもち妬かないから愛情が足りないって言うんだもん。

冗談っぽく言われただけだけど。

別に私、そんなことないんだけどなあ。中学の時も、秋斗が誰かに告白されてる時とかすっごい気になったし、イヤだった・・」

あ、思い出したらイヤーな気分になってきた。


「でも、さくら、アキトには直接、なんにも言わなかったでしょ。だからよ。

男なんてね、言わなきゃなーんにも気づかないんだから」

恋愛相談員の美穂先生はスマした顔で、ぴっと指を立てた。

「えぇー?? そんなこと、言えないよぉ・・」

「ま、そうでしょうね。さくらは頭で考えるタイプだもんねえ。

あたしなんかホラ、なんにも考えずにカーッと言っちゃうタイプだから。

それはそれでダメなこともいっぱいあるけどね」


さすが長年の付き合いの彼女は私の性格をよく理解している。

そして相談は続く。


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