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20 苦手な英語

昼の第二科学準備室。

またしても陽菜ちゃんに連れて来られて、先生と一緒にお弁当を食べている。

「昨日一人で来たら速攻で逃げられた。さくらちゃん一緒に来て!」

と陽菜ちゃんに懇願されたので、しかたなく。


今日も先生はサンドイッチ。例の。

まさかとは思うけど、あの日からずっとあればっか食べてる訳じゃないよね?

先生ならやりかねない気がして聞くのがちょっとコワイ。


陽菜ちゃんは今日も楽しそうにあれこれおしゃべりしてる。先生はちょっと困りながらも頑張って受け答えしてる。


話題は今日返って来た英語のテストのことになった。

「わたし、文法とかが苦手なのよねー。中学の時ホームステイとかしたから、わりと会話には自信あるんだけど。文法がダメ。細かすぎなのよ。

過去分詞とか、仮定形とかいろいろとさあ・・」

陽菜ちゃんは口を尖らせた。

「私は逆かも。話すのって緊張しちゃうから全然ダメ。今回の英語の授業で、先生と対話するやつも、思ってたことちっとも言えなかったし。

全部ペーパーテストでいいのに。リスニングもスピーチも嫌い・・」

はあーっと大きなため息をもらすと、陽菜ちゃんはドンマイ、と背中を叩いた。


「話すのは慣れですからね。日常で英語で会話する時間を取るといいかもしれませんよ」

日常でって言われても。外人の知り合いもいないし、やりようがない。

「練習、しましょうか」


突然先生の口から流れるような英語が!

あ、そうか。ずっとアメリカにいた天才だっけ、この人。


陽菜ちゃんが目を輝かせた。

「せんせ、かっこいいー! ぺらっぺらじゃん! わたしもわたしも!」


・・・なんか二人で話し始めた。陽菜ちゃんも発音上手いなあ。

あ、今の会話、わかるかも。

簡単な単語だし、すごくゆっくり話してくれてるから。

先生は私に向かって、さらにゆっくり話してくれた。

私も頭に文章を書いて、慎重に答えた。

それに陽菜ちゃんも加わり、先生が話して、私も話す。

会話が! 会話が成り立ってるよ! 

にっこり、優しく笑ってくれる先生。不覚にもどきっとしてしまった。




陽菜ちゃんの恋心はますます燃え上がったようで、その日から、週の何回かを先生とお昼を過ごすことになった。

第二科学室でのおしゃべりは英語で。私が言葉に詰まると先生はさりげなく単語をいくつか口にして、助けてくれる。


そのおかげで、週末のスピーチテストで初めて三回で合格点をもらえた。

いつもは五回やってもダメで追試になるのに。

うれしすぎる!

・・・とは言っても、複雑な気持ち。

この結果は明らかに先生のおかげ。なんだけど、こんな風に毎日お昼を一緒に食べて英語の特訓もしてくれますなんて、秋斗が知ったら激怒しちゃうよ。

なるべく関わらないようにって言われてるのに。


提出したノートに、私が間違えたところの説明がびっしり書かれたメモが張られていたり。なんかいつの間にかお昼を食べに行くと食後にココアを出してくれたり。英語のスピーチも追試を免れたし。


正直困る。

ありがたいんだけど、とってもとってもありがたいんだけどー!


・・・でも、やっぱりこんなの悪いよ。

先生の好意を利用してるみたいだし。

そう思って前にも一度、私に気を遣うのやめてくださいって言ったんだけど、

「私が好きで勝手にやってることですから、気にしないでください」

って笑顔でかわされた。

うう・・・。困るよう。どうしよう。

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