精神年齢30000歳超えの願い
練習作ですが、初投稿作品です。 まだまだ拙い点もありますが、よろしくお願いします。
「もしも生まれ変われたら」
誰だって一度は考えたことがないだろうか? 今の記憶を引き継いで若い頃に戻れたら、剣と魔法の世界に産まれていたら、といった具合に。
今の内に言っておこう。「やめておけ」と。
なんでそんなことを言うんだって? 簡単な理由だ。 俺が転生を経験したことがあるからだ。
元々俺は、日本で教師をやっていた。 たしか47歳だかそんぐらいに、駅のホームで突き飛ばされてそのまま電車に轢かれて死んだ。
そして気づいたら赤ん坊になっていた。 それも、角の生えた魔族でしかも貴族だった。
教師の頃に培った育成方法と魔族ならではの方法等で自らを鍛え上げ、魔王軍のそこそこ高い地位にまで登りつめた。 ついでに魔界の食事がクソマズかったので、日本食を普及させた。 正直、自分を鍛えるよりも頑張った。
そんな俺も、勇者にはあっさり殺された。 勇者は勇者で異世界から召還されたらしいが、髪が真っ青なうえに「ンナピァセ・ラェコュノノノ」って名前だったから、間違い無く地球出身ではないだろう。 いたらビックリする。
話が逸れてしまったがそんなこんなで俺はまた死んだ。 そんでまた生まれ変わって赤ん坊になった。 今度は科学の発達したSF世界だった。
何故か魔力を持ったままだったので、せっかくだから魔法を普及させてみた。 そしたら科学至上主義の目がイっちゃってる奴に刺されて死んだ。
例のごとく生まれ変わって、この時はドワーフの赤ん坊になってた。 しかも女だった。 科学と魔法を融合させた超兵器を造り上げたが、巨大ビーム砲の実験に巻き込まれて塵も残さず消失した。
次に生まれ変わった時は木になってた。 300年位は生きてたが、あっさり燃やされた。
気づいたら魔獣の子供になっていた。 群のボスになったが、冒険者に殺された。
………そんなことを繰り返すうちに、気づけば30000年が経っていた。 正直、教師だった頃の自分の名前すら覚えていない。
俺はなんの為に生まれ変わっているのだろう。 そんなことを考えていた時期もあったが、今はどうでもいい。 わかったところでどうしようもないし、今更知ったところで何とも思わない。
転生したところで上手くいくとは限らないし、上手くいったところで、死ぬときはあっさり死ぬ。
肝心なことは、今を楽しむことで、今生を謳歌すること。 それが唯一、30000年の中で俺が学んだことだ。
さて、なんで俺がこんな長々と話をしていたかというと、今回の俺はこの短編小説の主人公に生まれ変わったからだ。
そして、この話はもうすぐ終わり、それと同時に俺は死亡する。 それから俺はまた生まれ変わる。
何、心配することはない。 案外、そのうち会えたりするかもしれない。
それじゃ、サヨナラだ。 間違っても、自ら生まれ変わろうなんてするんじゃねえぞ。
願わくば、今度も楽しい世界であらんことを。