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第七十九話 老いた魔道師

 何はともあれ食わねば死ぬ。

 今日を生きるためにはごはんを食べなければならず、ごはんを食べるためにはお金が必要で、お金を稼ぐには働かなければならない。

 私の収入の大部分は、サイに魔道具を売ることで得られる。


「はいコレ発注希望のメモッス」

「ククリさん、意外と元気ですね……」

「メイス氏探すのに今日一日無駄にしたッスからね。今からでもバリバリ働くッスよ~。

 魔道具って作るのに時間かかるんッスよね? 出来るだけ早い方がいいんッスけど、納期はいつくらいになるッスか?」

「えっと、コレ30個も作るんですか? 私一人じゃ早くても半年は掛かるんですが……」


 麻痺から立ち直ったククリさんが寄越してきたメモには、いつだったかサイが持っていった治癒(キュア)を封じた魔道具を30個ほど製作して欲しい旨が書かれていた。

 しかし木属性の、しかも治癒魔術の魔法式は複雑で魔道具を作るのに向かない。私一人で量産するのには荷が重過ぎる。


「前に売ったときにえらい評判がよくってねぇ。兵士団からもっと欲しいって言われてんのさ。緑小石ならこっちで用意できるよ?」

「兵士団ってこの国の軍隊か。まぁ薬代わりは要り様か」


 べつに緑小石である必要はないが、あれならば魔法の使えない兵士たちも傷を癒すことが出来る。私的にはいい出来ではなかったのだが需要はあったようだ。前に作ったいくつかは全て売れてしまったか。

 量産がご希望ならばこの国にも優秀な魔道師はいるはずである。赤の国の技術力なら私の魔道具くらい中身を解読して量産ラインを作ることも出来るだろうに。

 治癒(キュア)は代表的な治癒魔術だが魔法式は私オリジナルの簡略と圧縮を施してある。解読が出来ないなら式を開示してもいい。そういう売り方(・・・)もある。

 正式に兵士団から注文を受けたわけではないようだが、その依頼は断った方がいいと思う。私だって忙しいのだ。


「ムリムリかたつむり! 別の魔道具を注文してくれ」

「そうかぃ? ま、しょうがないさねぇ」

「軍隊の備品の魔道具なら専属の国家魔道師がいるだろ。何なら魔法式(ほど)いて……」

「いいのかぃ? 魔法使いは自分の魔法を大事にするもんなんだろぅ?」

「惜しい魔法じゃないよ。それなら明日にでも出来る」

「なら頼むよ。ククリは兵士団行って注文貰って来な」

「うぃッス~」


 なんてやりとりの夜が明けて、次の日。

 サイの指示通り手早く身支度を整え颯爽と兵士団へと出掛けるククリさん。

 魔法式が出来た私も支度して一緒に出掛けることにする。


「え~メイス氏、あの服は着ないんッスか?」

「あんな裾の短い頭の悪い服いつまでも着てられないんですよ」

「だからってそんなイモい服……」

「い、イモ!? 私の一張羅なんです放っといてください!」

「そっちの格好の方がいつものあんたらしぃよ。ほら帽子」

「ん。これでいつも通り!」


 いつものローブに袖を通してとんがり帽子をかぶってククリさんと馬車を出た。

 ちょうどお昼の鐘が聴こえる。




 ナタの協力は絶望的なものとなったので次善の策を考える。

 一応いろいろと案はある。

 真夜中に城へ忍び込むだとか、何らかの功績を上げて謁見に漕ぎ着けるとか、現実的でない案も。


 この国の要人にツテを作るというのも不可能な話ではないか。相手が国家魔道師とかなら私もそれなりに話が出来ると思う。

 私は顔が知れている魔族なのでいい顔はされないだろうが、もしかしたらナタでなくとも偏見の無い目で見てくれる人はいるかもしれない。そんな人に口を効いて貰えば道は開けるだろう。前向きに考えてみよう。


 そしてどうやら私の魔道具は兵士団に評価されているようだ。

 というわけで今日はこの国の兵士団へ赴こうと思う。



「へぇ~メイス氏ってAランク魔法士なんッスね」

「私は青の国出身なんですけど、身分証が必要になったときに白の国に居て、そこで登録したんです」

「自分白の国出身なんッスよ。一応これでも戦士だったんッス」

「へぇ、どうりでサイの動きにも対処出来るんですね」

「全然ッスよ~。社長怒るとめちゃくちゃ恐いんッスから。昨日だって容赦無く顔面グーパンだったッス。ありゃ避けられないッスよ」

「戦士だったんならエッジっていう戦士を知ってますか? 私の知り合いなんです」

「エッジ? さぁ知らないッス。自分男の戦士とは反りが合わなかったッスから……」

「そうなんですか?」

「特に何人かの戦士に目の敵にされてたんッス。あの筋肉ダルマたち、自分に嫉妬してたんッス。

 結局4対1で一人の女性を賭けて負けちゃったんッスよ。それで国を出る羽目になったんッス」

「………女性を?」

「そうッス。自分の幼馴染なんッスけど、美人で人気だったんッスよ。その子もAランク魔法士だったんッス。次代の白雪なんて言われてたんッスよ~」

「……私、たぶんその人知ってます」


 道すがらククリさんと身の上話に花を咲かせる。

 人通りの多い歩道をてくてく歩きながら意外な世間の狭さを感じる。ウルミさん元気にしてるだろうか。馬の角(ウマノツノ)の暴走で白雪ではなくなってしまってその後は知れない。立ち直ってくれているといいのだが。



 赤の国の首都の街並みは画一的で全てが四角い。

 四角い建物が立ち並び、四角いレンガが敷き詰められた道が続く。夜はネオンであんなに華やかに見えたのに、昼間はどこか味気が無い。

 東西と南北の道が格子のように交差している碁盤目状の街作り。街を上から見ても四角い形をしているようだ。

 どこへ行くにも迷うことはない。


 ただ……、

 やっぱり明るい時間に街を歩くと、視線を感じる。


「ここが兵士団の本部ッスね~」

「……………」

「あれ?メイス氏の目が死んでる?」


 兵士団も街並みと同じく四角い建物だった。

 大きいは大きいが人の気配が無い。大きな扉は開放されていて表から受付に係りの人が座っているのが見えるのだが、それ以外には誰一人出入りが無く中に誰も居ないのではないかと思えてくる。


 ただ街を歩くだけでガリガリ精神を削られる私としてはありがたい。私のライフはとっくに0よ。きっとこの国はバリア床かなんかで出来ている。

 顔が知れるってのは怖いよなぁ。目で殺されるってこんな感じなのだろうか。

 心が荒む。吐き気がするよ。


「大丈夫ッスか? ちょっとそこで休憩するッスか?」

「こんなときにやめてください。また私に何する気なんですか」

「?? そこの公園のベンチで水でも飲むッスよ」

「あ、あぁ休憩ってそういう……」


 道を少し戻ったところに公園があったのでそこへ移動する。

 ベンチに座って深呼吸するとククリさんが水を買ってきてくれた。

 一口飲んでもう一度深呼吸する。青い空と白い雲を見ると少し気分がよくなった。


 瓶入りの水は魔術で飲料用に浄化された井戸水だ。といってもこの赤の国の荒野では井戸水すら貴重でけっこう値が張る。

 この公園も草花は少なく噴水のひとつも無い。申し訳程度にプランターが多数置かれているくらいだ。そのかわり椅子や遊具はたくさんある。全て土や鉄製だ。


 そして人もたくさん居る。結構な数の人だ。イベントでもやっているのだろうか?

 飼い犬の散歩をしている人やホットドッグを頬張る人。虚空を見つめ微動だにしない中年や鳥たちにエサを撒くおばさん。公園には様々な人が訪れている。

 特に真ん中の広場を囲うように人だかりが出来ていて、イベントの中心はどうやらあそこらしいことが伺えた。おかげで私に向けられる目は全く無くてありがたい。


「サーカスでも来てるんですかね?」

「さぁ? 見てみるッスか?」


 軽く言って立ち上がるククリさんにひょいと持ち上げられ肩車された。

 あまり目立ちたくはないが興味はある。

 そのまま人だかりに近づいて、広場の中央を見てみた。


「……………」

「何が見えるッスか~?」


 ククリさんの肩の上から見えたのは、黒マントの老人。

 たくさんの子供たちに囲まれて、魔術の実演のようなことをしている。


 ……黒マント。

 黒マント姿に、街灯のようなのを手に持った、老人。


「……………」

「どしたんッスかメイス氏? 何か見えたんッスか?」


 …………どこかで見た格好の老人が、公園の広場で大勢の子供たちを相手に何かしている。

 手に持つアンティーク調のランタンがぶら下がった細長い鉄柱はまぎれもなく『鳥の火(トリノヒ)』と思われる。全身すっぽり黒いマントを着込んで、皺の刻まれた顔は豊かな眉毛と髭に隠され表情がわからない。眉も髭も髪も灰色混じりの白髪である。

 真っ赤な逆毛の箒頭ではないが、明らかにナタの関係者臭い。


「自分にはもう何にも見えないッス。目の前には白い世界があるはずッスのに視界が全部闇に染まってしまったッス」

「なぁ!?ちょっなんでいつのまに前後逆になってるんですか!!!??」

「あでもなんか芳しい香りがすーはーすーはー」

「HA☆NA☆SE!!!!」


 全体重をかけたフランケンシュタイナーをお見舞いしたが元戦士はしっかりと受身をとったので効果は今ひとつのようだ。結果的に私のドロワ(無臭)がお日様を浴びただけ。何故私の周りの変態は無闇に戦闘力が高いのか。

 変態戦士は睨む私より広場が気になるようでその場からまっすぐ垂直跳び。膝を曲げた次の瞬間にククリさんの踵が私の目の高さまで跳び上がった。えっとギネス記録は何cmだっけ?


「あ、な~るほど。あの人が気になるんッスね?メイス氏ってば老け専!」

「違います。ただ知り合いに似てるというか、同じ格好というか……」


 子供たちは15人くらい。10才にも満たないであろうわんぱく盛りが僕も私もと老人を取り合っていた。

 老人はそれを諭すように、順番に相手をするように一列に並べているようだ。


「何してるんッスかね~?」

「子供たちに魔術を教えてるみたいですね。私ちょっと行ってきます」

「あ、メイス氏?」


 人だかりに混ざり小さな身体で隙間をすり抜け人の輪の内側に顔を出すと、さっきより間近で様子を見ることが出来た。


 やはり老人が子供たちに魔術を教えているようだ。

 列に並んだ子供たちの一人が老人の前に立ち、手の平に小さな火を出して見せている。

 火属性の詠唱(コトバ)を一言唱え手の平に現れる火は魔法の才能を持つ子供が発現する名も無い魔法だ。

 才能。ある程度以上の魔力を持てば、子供でも特別な訓練なく火くらい出せるようになる。

 そしてそれはときに危険を呼ぶ。


 老人の前で火を出した子供が、小さな悲鳴を上げ手から火を取り落とした。

 地に落ちた火は燃料(まりょく)を失い、すぐに消えた。

 老人がその子供に何事かを言い聞かせている。


 魔法を制御できず、自分の出した火で自分の手を焼いてしまったのだ。

 子供が最初に使い出すのは得意な属性なんかもあるのだが、大抵は火水土風の基本四属性。しかし火を出してしまうとあの子供のように制御しきれず危ない。今のように自分の手を焦がしたり、周りの物に火をつけてしまったりすることがある。


 火、風、水、土、の基本四属性に、

  雷、氷、木、金、の上位四属性。


 同量の魔力でこれらを使った場合、一番攻撃力が高いのは『火属性』である。

 基本四属性で言うと、水や土を生成するのは魔力を多く消費する。風を生むのは燃費がいいが、攻撃力に転じにくい。


 攻撃力とか威力とか言うのは要するに質量と熱だ。

 土や金の属性はまさに大きな質量を生み出す魔術であり、消費魔力に目を瞑れば高い威力の出る属性だ。水や氷も同様である。魔力を変換して生み出した質量を、これまた魔力によって意のままに操り運動エネルギーを持たせてやるのだ。

 風属性は主に空気を生み出したり操るので質量は少なくて済む。攻撃力(しつりょう)は少ないがその分消費を抑えた魔力を運動エネルギー操作に回せるので複雑な動きを持たせることも比較的容易だ。

 そして火属性は、質量を生み出す必要が無い。

 魔力そのものを燃料にしてどんどん攻撃力(ねつ)を生み出すことが出来る。

 基本にして最強の攻撃魔術属性。

 まだ魔力を制御できない子供では、暴走させてしまうのだ。


 適切な威力を出すために、自分の持つ魔力をきちんと制御し、

 自分や周りに危険が無いように、属性を操って指向性を持たせる。

 そこまでが『魔術』の『基本』である。



 次の順番の子供を相手に、今度は水の魔術を教えている老魔道師。

 なんとなく、師匠の姿がダブって見えた。


「…………」


 口を開けてじっと見ていると、一瞬だけ老人と目が合った。

 気のせいかと思ったが、老人は子供たちの相手はやめないまま、

 私に手の平を見せ、口髭が揺れて「少し待て」と言った気がした。


 結局列の子供全員の相手を終えて、見物の人たちも解散となった。

 子供たちの親御さんも人だかりの中にいたようだ。老人に何度も頭を下げて、子供を連れて帰っていく。

 何人かの子供たちが覚えたての魔術を見せ合う広場を離れ、私もククリさんを待たせっぱなしのベンチに戻る。


「メイス氏。さすがにそろそろ仕事に戻らないといけないッスけど」

「えぇ、それなんですが……」


 少し待て、という老人の口パク。

 気のせいかとも思ったが、結局気のせいではなかった。

 カラン…という音に振り返るとそこに、その老人が持つ細い鉄柱の先でランタンが揺れていた。


「待たせたね」

「……………」

「君のことはナタから聞いている。今日にも会おうと思っていたところだ。君の方から出向いて来るとは思っていなかったが」

「…はじめまして」

「メイス氏マジで逆ナンしてきたッスか?老け専っていってもさすがにそこまで歳が離れた人ってのはドン引きッス」

「ククリさんちょっと黙ってて下さい。この人と話があるので…」

「メイス氏つめたい……」


 寄生右手のようなことを言うククリさんには仕事に戻ってもらうことにした。これ以上いられても会話がややこしいし。

 今日の目的であった私の治癒魔道具の魔法式を渡し、兵士団へ走るククリさんに手を振った。


 そして、

 異様な雰囲気の黒マント老人に向き直る。

 老人の手には、ナタが持つはずの鳥の火(トリノヒ)が灯りを揺らしている。

 ナタが大切なこの杖を預ける。そんな人間なんて、

 ナタの師匠以外に、考えられない。


「あなたが、紅炎?」

「いかにも。私がフランベルジェである」


 そりゃぁ人だかりも出来るはずだ。

 今も遠巻きに、公園内の人々から遠慮ない視線を感じている。


 やはりこの人がナタの師匠。

 蒼雷、白雪に並ぶ三大魔道師の一人。

 『紅炎のフランベルジェ』その人だった。


「あの……紅炎ともあろうあなたが、こんなところで何を?」

「何、年寄りのささやかな楽しみというやつでね。この公園で子供たちに魔術を教えるのが私の日課なのだよ」

「ナタに、私のことを聞いたというのは?」

「昨日の夜の話だ。遅くに帰ったかと思ったら、突然王に謁見したいなどと言うのでね。理由を問い質して、君のことを聞いたよ」

「謁見…!?本当ですか!?」


 王に謁見。ナタの奴、ひょっとして私のお願いをちゃんと聞いてくれていたのか。

 昨日あの後すぐに紅炎に話を通し、私がマスケットに会えるよう取り計らってくれていたのだ。サンキューナッタ!


「マスケットに、王に会えるんですか!?」

「まぁあわてるでないよ。

 ……どれ、顔をよく見せてもらいたい」


 紅炎の老魔術師は、その場で膝を突いて踞み、視線を合わせて私の顔をまじまじと眺めだした。

 それによって私も老人の顔を伺う。


「そうか。君がメイスの弟子か…」


 といっても、豊かな髭と豊かな眉に隠されて表情が読めないが、


「ふん。忌々しい……」


 その眼光は、攻撃的な色を浮かべていた。


「………あの?」

「君の師、蒼雷のメイスとは古い仲でね。

 もっとも、私はあの頭の固い男とは最後まで考えが合わなかったのだよ。双子の弟殿はあれほど話の合う男だったというのに」

「それは、どういう…?」

「あの男はね、

 あれだけの業を持ちながら、弟子をとろうとしなかったのだよ。それが私には理解が出来なかった。私がどれほど伝承の意義を説いても、爪の先ほども聞こうとしない男だった。それだけではない。私のどんな言葉も他の誰の言葉も、人の話を聞くことを知らん男だった」

「……………」


 紅炎の老魔道師は、私の師匠と、縁の深い人だった。

 本人の弟子である私に、まぁ出るわ出るわ不平不満に恨み言。やれ新魔術開発の先を越されただの三月式典魔術会で不意を突かれただの言葉巧みに酒を奢らされただの意中の女性を奪われただの。


「私が弟子を育てる間も、あの男は己だけの魔術を磨き続けていたのだ。それが故にあの魔術の業だ。あの男とともに地獄へでも落ち失せるはずの研鑽だ。だというのに……」

「えと、なんか私の師匠が、すみません」

「君が謝ることではない。全く…」


 心底忌々しいというように、まだまだ言い足りない様子でそれでも一度息を吐いて恨みの言葉を一旦止め、


「とうとう死んだと聞いたのに、ちゃっかりとこんな弟子を育てていたとはな」


 私の被る師匠のとんがり帽子を、指で軽く弾いて言った。


「まったくもって忌々しい。あの男の弟子が優秀であることが私には我慢がならない」

「す、すみません」

「謝るようなことではない」

「私は、そんなに優秀なわけでは……」

「……………ふん」


 立ち上がった紅炎が黒マントを翻す。

 杖の鉄柱を地面に打ち付けると、杖頭のランタンがカランと揺れた。


「すまない。話を戻そう。君は王に謁見したいということだったね?」

「そ、そうなんです! 身の程知らずなことだとはわかってるんですが、どうしても!」

「先の三月式典でのことは聞いている。君とマスケット王は縁深き仲だということも。

 ナタに話を聞いて、今朝方すぐに謁見の許可を申請したところだ」


 王に、マスケットに会う。

 今はそれが何よりも優先する私の目的。

 三大魔道師。この国最高位の魔道師の口利きがあれば、条件は全てクリアされたも同然。

 期待を胸に込めて、紅炎の言葉を待つ。


 しかし、



「マスケット王は、申請を却下された。

 残念だろうが、君は王に会えない。王が会いたくないと言われたのだよ」



 紅炎の言葉は、マスケットへの道を完全に閉ざすものだった。




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