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即興小説  作者: 談儀祀
9/15

河原の十二使徒

お題:裏切りの敗北 必須要素:十二使徒

 いわゆる四天王的存在なのだろうか。

 十二使徒と名乗る馬鹿が毎週のように俺に喧嘩を吹っかけてくるようになったのはもう2か月以上も前の話だ。ご丁寧にも出身校、学年、クラス、出席番号まで名乗り上げて俺に殴りかかってくる様は見事というほかなかった。しかも弱いし。

 一人目はノリノリで十二使徒を演じる馬鹿だった。ぶっちゃけ中二病だと思った。きっとこんな風に名乗り上げるようにしたのはこいつなのだろうと思った。やたら格好良さそうで格好悪いセリフをぶつぶつつぶやいた後殴りかかってきたがパンチが遅かったので華麗にスルーした。

 二人目からはもうやる気が感じられなかった。「裏切り者には死を」とか超絶やる気なさそうに言っていた。それでもなぜか本気で殴り掛かってきたので適当にあやして放置。

 三人目に至ってはわけがわからないことに首から看板を吊り下げていた。無口そうな男で事実一言もしゃべることなく、看板を示した後なぜか頭突きをしてきた。河原だったので適当に避けたら転んでた。

 四人目、五人目も同様で、やる気というものはほとんど見られず喧嘩を吹っかけてきたと言ってもなんかいやいややらされているような感じだった。やっぱり適当に切り抜けて放置。

 六人目にやってきたのは優男風の男だった。一人目以上に中二病な男できっとこいつがこの流れに火をつけたんだろうなぁと思うとなんだか憎らしかった。喧嘩もそこそこなものでパンチやキックもそこそこキレがあったがそれ以上ではなく、ストレス解消に何発か殴って転がしておいた。

 七人目はやっぱりやる気がなかった。というか、名乗って台本を読んで、そのまま帰ってしまった。喧嘩しに来たんじゃないのかよ。

 八人目は弱弱しかった。むしろ病人だった。マスクをしてげほげほと咳をしながら長ったらしいセリフを数分間にわたってしゃべり続けようとしたため、救急車を呼んでやった。救急車が来るころにはぶっ倒れていて説明するのが非常に大変だった。

 九人目と十人目はとうとう遠距離から攻撃してきた。といっても石を投げつけてきているだけだ。小学生か。そろそろマンネリ化してきたことに向こうも飽きはじめているらしく、正直セリフもおざなりのようだった。

 十一人目は典型的な咬ませ役だった。そこそこ強かったのだが、途中で十二人目と思わしき男に唐突に殴り飛ばされた。男は十二使徒最後の使徒だと名乗り、そこで去って行った。

 翌週やってきた彼は多少強かった。「裏切り者の敗北は必然!!」などと喚いていたけど、正直義理でやってるんだろうなぁと分かる表情だった。やっぱり四天王的な存在で、最後に黒幕がいるらしい。適当にボコっておいた。

 そんなわけで今週がおそらく最後なのだろうが、やってきたのはやたら図体のでかい男である。男は言った。

「俺と付き合え」

「いやこの前も断ったし」

 ふんがー! と怒っていたようなのでここ12週間ほどのストレスを吐き出すように殴って終了。


 やっぱり、逆恨みは怖い。

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