捌話:乙女の終戦日
「……で?あんた、それで満足なわけ?」
「うん。とりあえず……」
「バカか?」
「う゛」
電話の向こうから、絶対零度の冷たい溜め息と呆れた声。
あたしは今。今日の放課後の結果報告を明海ちゃんにしていた。
お風呂も夕飯も済ませて、後は寝るだけとパジャマ姿でベットに寝転んで報告していたんだけど……あまりの冷たい空気に身が縮こまり、ほぼ反射的に正座してしまった。
「あんた最初の告白と、結果変わってないじゃない……バカでしょ?」
「かっ変わってるよ!」
「どこが? あんたそれで、次の恋愛先延ばしにして…最終的に高校ずっとフリーって落ちになるかもよ?」
「そ、そんな事は絶対ないもん!」
「どうだか……まぁ、あんたが決めたことだし。私がとやかく言うことでもないよね。精々がんばりなさい」
つ……冷たい。
明海ちゃんはそう言うと「じゃぁ、私やりたいことあるから切るね」と、あたしの返事も待たずに通話を終了させた。
「……大丈夫。ちゃんと進展してるから」
上手く明海ちゃんに伝えられなかったけど、明日改めて明海ちゃんに言えばきっと分かってくれる!
「……はず」
じっと携帯を見つめて明海ちゃんに、明日どう改めて説明しようかと首を傾げる。
「お、思い浮かばない」
どう言ってもさっくりと切り替えされて言葉を詰まらせる気がする。
う~……どうしよう。
そう唸っている時、携帯が軽快なメロディーを響かせた。
設定していた着メロは未設定からのメール受信。
「誰だろう?」
こんな時間に――。
広告とかのメールは殆ど来ないから、きっと設定し忘れた人からだと思う。
でも大抵は設定してるし……やっぱり広告かな?
あたしは疑問に思いつつ、受信メールを開き、そして送信者の名前を見てドキッと胸を弾ませた。
「鈴木君からだ!」
そう、送信者は鈴木健一君。今の悩みの中心にいる人からだった。
帰宅途中で、携帯アドレスを交換したことを思い出して、思わず頬が緩む。
メールの内容は、いたってシンプルでそっけない文章だったけど、送ってくれた事が十分過ぎるほどのサプライズだもん。
因みにメールの内容は今日出された課題に関してと、おやすみの挨拶。
そのメールに顔文字とかいっぱい付けて返信する。
ちょっとうるさかったかな……と思ったら直ぐに返信されて、やっぱりという感じでその事を指摘されちゃった。
今度は控えめに返したら、鈴木君からまたも直ぐ「そのくらいなら、大丈夫」て答えが返ってきて、それからしばらく鈴木君とメールのやり取りをして就寝した。
あたしはこの日、鈴木君とのメールのやり取りが凄く嬉しくて携帯電話を抱きしめて寝た。
明日の朝、今度はあたしから「おはよう」てメールを一番に出そうと決めて。
これで終わりです。明海ちゃんの言うとおりあまり進展することが出来ませんでした……。私の力量不足が見て取れる作品です。2011年8月26日の活動報告にも書いているんですが、人の気持ちは一目惚れじゃない限り、そんな劇的に変わるものでもないんじゃないかなぁと思ったり……すみません。逃げです。
次はいつ仕上げる事が出来るかわかりませんが、見かける事がありましたらまた足を運んでみてください。ここまでお読みくださいまして本当にありがとうございました。