イケメン?使い道なければ意味なくね?
昔から容姿を褒められる
母には
毎日のように誉められるし
父にも
父の職場の仲間も誉めてくれてたらしい
兄も
「このマンガの主人公みたいだな?」と
イケメン設定の主人公を指さし
俺に そう言ってた
中学校でも
クラスメイトに
有名なアイドルグループの
面接に一緒に行こうと誘われた
イケメンなのか?
どこが?
この
ゲームとマンガの登場人物と
俺って何も変わりなくね?
中学校一学期終わりに
謎の体調不良が起きて寝たきり
医師からは精神障害者扱い
担当医が代わる度に
診断名が変わる
たとえ
イケメンでも
これだと意味なくね?
だいたい
歩ける身体じゃねえし
症状が緩和していく
夜くらいしか歩けない
障害基礎年金暮らしだから
人と遊べるお金もない
イケメン?
使い道なければ意味なくね?
今夜は体調がマシな日
家に居てばかりなのも
気がおかしくなりそうだ
街に出かけよう
メインストリートに行く
カップルが居るが
俺は人と
ああいう関係になれない
一生
彼女はできないだろう
こんな彼氏
誰が欲しがる?
「かっこいい!!」
指さされて
女の子に
そう言われた
「(後ろに
芸能人でも居たのかな?)」
そのまま通り過ぎる
翌日の21時30分
気がおかしくなりそうなので
街に出かける
今夜もなんとか
マシな日で歩ける身体
「ねえ?」
知らない女の子から
声をかけられた
「リナが普通に
あんたにガン無視されたんだけど?」
・・・誰の事だ?
聞いたこともない名前だし
「あんたを指さして
あんなに わかりやすく
かっこいいとアプローチしたのに」
あの時の女の子か?
俺のことだったのか!?
「・・・あんた
・・・もしかして
・・・イケメンの自覚ない?」
「そもそも
俺はイケメンなのか?
ゲームやマンガだと
俺くらいの容姿
ゴロゴロ居るぞ?」
「・・・・・」
その言葉をしたら
相手の女の子が絶句した
そして
口を開いて出た言葉が
「・・・それ
・・・自分でイケメンと
・・・言ってるようなものじゃん?」
「・・・・・え?」
「画で創られた
完璧な容姿と
あんたが同じ?」
「・・・あれは
・・・普通じゃないのか?」
「なんで
そうなったw?」
「・・・寝たきりだし
・・・他を知らない」
「・・・あ~
あんた容姿を他の人と
比較できなかった系?」
言われてみれば
10数年も
家族くらいしか
まともな会話をしていない
「じゃあ
もらっちゃおうかな~」
「・・・・・・」
いきなり
キスをされた
「なにしてくれてるの!?」
「え?
今の時代
ふつうにキスするでしょ?」
「初対面の男にか!?」
「うん♪」
・・・俺が
・・・激しくズレてるのか?
・・・それとも
・・・この女が激しくズレてるのか?
「あんたの勘違いで
リナがあんたをゲットできなくて良かった」
腕を組んできた
「おい!?」
「イケメンだし
反応おもしろいし
まずは友達してみない?」
「・・・・・」
・・・イケメンだったのか?
アリナの
連れて行ってくれた世界は
俺が知らないものばかり
夜の路上ライブ
その人たちの演奏と歌声を
聞いて居た
「・・・こんな世界も
・・・あるんだな」
「このくらいも知らないの?」
「部屋の中の世界くらいしか知らない」
「・・・・・」
その言葉に黙り
何かを考えて言葉を発したアリナ
「だったらさ?
私が世界を見せてあげようか?」
「・・・・・え?」
車を用意する
「・・・」
「さあ
乗ってよ?」
「・・・・・」
誘拐されるかもと
思ったが
知らない世界への
好奇心が勝ってしまった
車に乗り
どこかへと向かう
「おい?
こんなにスピード出して
大丈夫なのか?」
「いいんじゃない?
法定速度ギリギリだけど」
・・・すごい
・・・車と言う物は
・・・どこまでも
・・・運んでくれる
山の上
「ごらんよ?」
そこで
見せてくれた景色が
「・・・・・」
「どこまでも広がる星空と
どこまでも続く海だよ?」
「・・・・・・・」
「部屋だけの世界しか知らないなら
刺激的なんじゃない?」
「・・・・・・・」
その言葉通りだった
「・・・・・すごいな」
「まあ普通は
この程度で感動してくれる人
めったに居ないんだけどね」
「そうなのか!?」
「フフ
反応おもしろ~い
これくらいで
目をキラキラ
輝かせてくれるのかw」
アァァァアァアァァアァァ!
すると急にアリナが
とんでもない叫び声を
星空と海に向けて放った
「どうしたんだよ!?」
「してみん?
スッキリするから」
「・・・・・・・」
そう言われて
俺も叫び声をあげた
『アァァァァァアァァアアアッァアッァ!!」
「アアアァァァアァァアァァァァアアァア!!」
俺の叫び声に続いて
アリナも声をあげる
「・・・・・・・・」
「どう?
けっこう心に
貯まってた物
あったんじゃない?
吐き出せた?」
「なんで
わかるんだよ?」
「わかるよ?
私も昔
そんな生き方してたから」
「・・・・・え?」
「知らない世界って
楽しいよね」
「・・・・・」
なんか知らないが
アリナは俺が思ってる事を
理解してくれている
「俺と
同じ生き方だったのか?」
「そう
鬱々として世界が広がるだけ
なんの希望もない」
「アリナは
どうやって
その世界から
抜け出したんだ?」
「さあ?
好きなように
好きなことして生きてたら
いつの間にか抜け出せてた」
「・・・俺も
・・・そうなりたいな」
「どうだった?
知らない世界は」
「・・・・・・・」
俺は
思った事を言葉にした
「・・・すごかった」
「そうでしょ?」
「・・・車って
・・・どこまでも広がる世界に
・・・連れてってくれるんだな」
「・・・・・・・」
黙ってしまうアリナ
「そこは!
星空と海じゃねえのかよ!?」
「・・・・・え!?」
「そっか
あんたにとっては
世界を広げてくれる
車の方が魅力的か
じゃあ次は
ずっとドライブしてみようか?」
「・・・・・・・」
「どうしたの?」
「イケメンだから
俺に声をかけたのか?」
「あ 自覚したw?」
「・・・そういうわけじゃ
・・・ないけど」
「リナに
あんたの話を聞いて
イケメンだけど自覚なさそうと思って
面白がって接近したけど
こんなにも反応が面白くて
ちょっとしたことで感動してくれて
似たような地獄を味わってるから
他人とは思えなくなっちゃった
私を見てるようで」
「・・・・・え?」
「まずは
お友達から始めない?
ジルバ?」
「・・・俺で
・・・いいのなら」
土曜日
アリナが
車を用意してくれた
「さあ行こうか?」
昨夜の発言通り
アリナは俺を
様々な場所へ
車で連れてってくれた
海沿い 山
人の集まる街並み
・・・世界が
・・・広がっていく
「どうだった?」
「・・・・・」
言葉が出ない
部屋と言う箱だけの世界
たまに歩ける身体でも
よく行くメインストリート
初めて
ちがう意味で外に出れた気がする
日曜日も
アリナに車で連れられて
どこかに行く
着いた場所が
「・・・遊園地?」
「どう?」
「そんな遊べる体力
あるか どうか・・・」
「遊ばなくていいよ?」
「え?」
「人が恋しくない?」
「・・・・・・・」
なぜ
わかるんだ?
そっか
昔もアリナは
そんな生き方をしてたんだったな
遊園地で
楽しく
はしゃいで遊んで居る
人々を
ただ眺めるだけ
ベンチに座って
マスコットの被り物をして
ただ お喋りして過ごす
「なにか
乗り物に乗らなくていいのか?」
「なんで?」
「そういう場所だろ?」
「あんたとなら
話してるだけで楽しいけど」
「・・・・・・・・」
そういう物なのか?
なんか普通に
遊園地なのに
お喋りしてるだけで
この日は楽しく過ごせた
「どう?
世界は広かった?」
「・・・・・すごくね」
「あんた
けっこう面白いね?」
「どこがだよ?
つまらないだろ?」
「つまらなかったら
一日中 お喋りだけで
満足できるのかな?」
そう言われれば
たしかに そうかもしれないけど
「なんか
友達だけじゃ
もったいなくなったなぁ
堕としていい?」
「急になんだよ!?」
「ちょっと
からかっただけで
全力のリアクション
かわい~w♪」
「・・・なんだよ
・・・それ」
でも
心のどこかで
それも悪くないどころか
それを
望んでいる俺が居る
「・・・こんな俺で良ければ
・・・つきあってくれるか?」
「え!?」
「友達として」
「・・・・・・」
友達かぁと
なぜか残念そうに
アリナは そう言った
「まあいいや
少しずつ篭絡すればいいだけだし」
「・・・怖い言葉
・・・言ってない?」
「そんなことないよ?
言葉として適したことを使っただけ」
「・・・なら
・・・余計に怖いだろ」
結局
そう遠くない未来に
俺はアリナに篭絡される
一生
彼女はできないだろうな
そう思ってたけど
人生は不思議だ
こうしてアリナと
恋人になった
彼女は
俺の知らない世界を
たくさん見せてくれる
まさか
これほど長い
付き合いになるとは
思わなかった
彼女との付き合いが
生涯が終わるまで
続くことになった。
イケメン?
使い道なければ意味なくね?
結局
俺が つまらなければ
関係は続かなかっただろうし。




