表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あるゲッシーの異世界ひとり旅  作者: Kengoh


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/16

あるゲッシーの装備確認

「ぐぬぬ…」


勇者の卑劣な策略により、私は魔王の作戦に強制参加となった。



「他に言い方があると思うんだけど…」


帰り支度をしていたヒヨリちゃんが呆れ顔をする。



「流石に荒事には参加させんぞ」


ルシエルさんが私を見下ろす。「踏まぬようには気をつけるがな」



むぅ、ゲッシーの回避力を甘く見てはいけませんよ。


能力が素早さに全振りなんですから。あと可愛さね。



「それはそんなに誇らしげに言う事なのか…」


…どうやら私には、人を呆れさせる才能があるようだ。






「遅くなりましたが、こちらをお渡ししておきます」


係長さんが軽く首を降ると、空中に棒のようなものが現れる。



私の手の中にポトリと落ちたそれを見つめる。「おお、これは…」


昔やってたソシャゲで見たことある杖。ゲッシーの初期装備だ。



通常攻撃は単体に闇属性の魔法弾。


特殊攻撃は範囲に闇属性攻撃と混乱付与。



…改めて見ると、魔法少女の変身ステッキみたいだな。玩具屋さんの。



「今回はこの娘が張り切ってしまいまして…」


係長さんが主任さんを見ながら言う。猫がため息を吐くの初めて見た。



「初期レベルにはちゃんと初期の装備を持たせないと、とか言って…」


「にゃ!」主任さんは誇らしげだ。猫だけど。



主任さんは私と杖を交互に見ながらにゃあにゃあ言っている。


「…あなたまさか、言語セットを入れ忘れたのですか」



この二人は本来意識体の存在なので、行動の際には肉体を作る。


主任さんはその際に言葉を話す能力を入れ忘れたっぽい。



係長さんは額を抑えている。前足で。


「もう念話でいいですから、早く説明をしなさい」



「にゃ、にゃあ…」主任さんは急に挙動不審だ。


後ずさりしながら私の背後に隠れる。なんだなんだ?



「あなたまさか…」係長さんの表情がみるみる険しくなる。


「念話セットも忘れたのですかっ!」あ、しゃーって言ってる。



係長さんは主任さんに飛びかかると前足でペシペシと叩く。



「まったく、もう、あなたと、いう、人はっ」


「にゃにゃ、にゃ、にゃにゃ、にゃ、にゃっ」



「それでは、ただの、猫では、ないですかっ!」


…確かに。





係長さんが落ち着くまで、魔法のお試しをすることにした。


「むんっ…!」杖を構え、体の奥深くに意識を集中する。



「…念のために確認したいのだが」ルシエルさんは困惑している。


「あれは魔法を放とうとしているのか?」



「何かに変身しようとしてるのかも」


ヒヨリちゃんは腕を組んで思案顔である。失礼な。



外野がうるさいが、構わず杖を持つ手に力を込める。


己の内に何かが灯り、それが燃え上がり、渦巻くのを感じる。



…来た。これぞ我が身に宿りし、秘められた昏き闇の力。


「…今ここに顕現せよ」私は杖で空を切り裂く。「はぁぁっ!」



「……」


「……」



私はしばらくその態勢を維持していたが、特に反応は無かった。


全くもって完全に、完璧に、疑う余地無く無反応でだった。



…今日もいい天気だよなぁ、もうここで寝ても良いよなぁ、うん。


私はぽすり、と草のベッドの上に倒れ込んだ。



「寝るなーっ!」ヒヨリちゃんうるさい、ちょっと放っておいて。


「杖の良し悪し以前の問題だな」ルシエルさんは完全に無表情だ。





「これは、ここでサヨナラという訳にはいかないよねぇ…」


側に座ったヒヨリちゃんがジト目でこちらを見る。視線が痛いです。



「どちらかが預かるか」ルシエルさんがつぶやく。


「寝床と食い扶持くらいは問題無いであろう」



「いえ、私はこの世界を旅することが…うぐぅ」


後ろを向くと、カレンさんが私を抱きしめている。全力で。



「それも良いけど…」ヒヨリちゃんが考えながら言う。


「生きてく上で最低限の知識と技術は必要だと思うんだよねぇ」



「ほら、ボクが拠点にしてるドワーフの街があるでしょ」


良いこと思いついた、という風にヒヨリちゃん。



「あの交易都市か、冒険者ギルドもあったな」


ルシエルさんが答える。それより早く助けて欲しいんですけど…



「冒険者を目指す子供たちの講習会をやってるんだ」


ボクの知り合いがやってるから安心だよ、とニコニコして言う。



「あの都市なら学ぶのに良いであろう…常識をな」


ルシエルさんもニヤリと頷く。あの、私の意見は…?



それよりさっきから締め付け…もとい抱きしめる強さが…


カレンさんちょっと落ち着いて、苦しいんですけど…



目の前がチカチカして…。あ、これはダメっぽい…

































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ