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あるゲッシーの異世界ひとり旅  作者: Kengoh


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5/7

あるゲッシーと危険な2人

うん、困った。


転生直後にこんなに困惑したお話はあっただろうか。



「ボクはヒヨリ、女神様に異世界から召喚された勇者だよ」


陸上部系ボクっ娘が言う。絶対同郷でしょ彼女。



「私は…ルシエルだ。今代魔王を務めている」


細マッチョのイケメンが言う。不機嫌なのは気の所為だと思いたい。



困っているのは、諸々の事情を話していいのか判断がつかないからだ。


話さないと自分の説明も出来ないし。



神様…ヒヨリちゃんは女神様って言ってたけれど、


二人が神様派なのか敵対してるのかも分からない。



そもそも勇者と魔王が一緒にいる時点で私の理解を超えている。天元突破で。



私が口をパクパクさせているのを見て、魔王がため息をつく。


「まずは落ち着け、…カレン」



わぁもう1人いた。長身の超絶美形さん、執事っぽい服をお召しである。


美形さんは一礼するとどこからかテーブルを出す。これがインベントリかな?



流れるような動きでお茶会の準備をしてしまう、て言うかこの人男性?女性?


「どうぞ、おかけ下さい」あ、女性だ、綺麗な声だなぁ。



私がうんしょ、うんしょと椅子に登ろうとしていると手が伸びてきた。


優しく持ち上げられると、ゆっくり丁寧に椅子に座らせてくれる。



「あ、ありがとう、ございます」後ろを振り返ってお礼を言う。


「いえ、お気になさらず」優秀な執事はここまで気遣い出来るんだなぁ。



私の目の前に、お茶のカップとクッキーっぽいお菓子が置かれる。


これもまた良い匂いだなぁ、でもちょっとテーブルが高い。



私が手を伸ばしてカップを引き寄せようとすると、後ろから声がかかった。


「失礼しますね」カレンさんに再び抱き抱えられる。



「えーと、あの…」カレンさんは私を抱き抱えたまま椅子に座る。


私はカレンさんの膝というか太ももの上にちょこんと座った形になった。



これはかなり…いや非常に恥ずかしいのだが、今更降ろしてとも言いづらい。


ルシエルさんは変わらず仏頂面だし、ヒヨリちゃんは、次はボクもーとか言ってる。



カレンさんは私のお腹あたりを抱えたまま、カップと皿を引き寄せてくれた。


「どうぞ召し上がって下さい、お茶は熱いので気をつけて」



穏やかな声に再び振り返って礼を言う。優しいなぁ異世界転生して良かった。


カレンさんはふんわりと笑みを浮かべている。



「ボク、カレンさんの笑顔を見たの初めてなんだけど…」


「我は…200年ぶりくらいだな」外野がうるさい。





「…話を続けるぞ」


そうだ、そちらが本題でしたね、モグモグ。



「我々魔族は、この世界では古くから忌み嫌われる存在であった…」


カレンさんが、半分に割ったクッキーを口元に持ってきてくれる。



「確かに粗暴極まりない種族がいたことも確かだ」


いや流石にそれは恥ずかしいんですけど…そうですか?じゃあ、あーん。



「他種族には危険な魔物との生活域が重なることも、その認識を強めた」


あ、お茶は自分で飲めます。熱いから?フーフーする?



「だが我々もこの世界の一員だ。家族や友を愛し、地に根付いて生きている」


ホントに美味しいですね、え、カレンさんが作ったんですか?スゴイです!





「…おい」


「流石にボクもどうかと思うよ」



「ごめんなさい」いやちょっと現実逃避をね、申し訳ない。


ちらっと後ろを見ると、カレンさんは涼しい顔をしている。意外にタフなようだ。



だってゲッシーに転生するなんて思ってなかったしさー。


名前も考えてなかったんだもの、話せること何も無いよなぁ。





さて2人の話をまとめると、こういうことらしい。


遠く離れた地で、立場も種族も異なる2人が同じ疑問を持った。



勇者は、この世界では明らかに冷遇されている種族がいることに。


魔王は、魔族が長年冷遇され報われない生活を強いられることに。



時間はかかったが2人は巡り合い、この問題について共に答えを求めた。


だが結局それはかなわなかった。



女神からの託宣は無くなり、勇者を名乗る者たちが現れた。


魔王を名乗る者まで出現し、世界は静かに混迷を極めて行った。



「そんな時に、だ」


女神の気配、いやそれに非常によく似た気配が突然現れたのだ。



「我々がここにきたのはそのためだ」


ルシエルさんはゆっくりと腰の細剣を抜いた。「話してもらうぞ、何もかも」



ルシエルさんの細剣から黒い光が溢れ出す。黒いのに眩しい。


その光は少しずつ収束し、細剣は巨大な黒い鎌へと姿を変える。



あー女神がいなくなったのは、捕まって研修受けてるからです。


五万年くらいかかるって。



勇者がたくさん現れたのは、あれだ、


勇者召喚マニュアルのせいですよ、きっと。



神に似た気配っていうには、私の体だよな。


主任さんが一生懸命作ってくれたからね。



…これどう考えても信用されないよね。私が言われても信じられないし。


どうしよう、召喚されたらすぐピーンチってハードすぎない?



「ルシエル落ち着いてー」ヒヨリちゃんは言ってくれてるけど、


そんな離れた木の影からだと聞こえないと思います。



「ちょちょちょっと待って下さい、どうお話しするか考えてて…」


ええい、もう全部そのまま話すしか無いか、あとはどうにかなんだろ!



「…名も名乗らぬ輩の言を信用する道理は無い」


ですよねぇ!それを言われるとツライ、それも理由が、ねぇ聞いてー!


















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