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あるゲッシーの異世界ひとり旅  作者: Kengoh


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14/16

あるゲッシーとエルフの先輩


「ひゃっほー」私は草原を駆ける。風が気持ちいい。


穏やかな快晴、一面の草原をゲッシーの脚力で走り抜けるのは楽しい。



どこまで走れるんだろう?視線の先に小川が現れる。飛び越せるかな?


いけるいける、スピードアップしてジャンプに備える。



「もう、待ちなさいっ」襟を掴まれて強制ストップがかかる。


えー、良いとこだったのになぁ。私は不満げな顔で振り向く。



「新人冒険者が講師を置いていくとかありえないでしょ」


頬を膨らませた女性が私を見る。怒ってるけどちょっと可愛い。



「走ってみようって言ったのはエミーさんでしょ…」


私は反論するけど、襟を掴まれてぶら下がっているので全く迫力が無い。



「限度があるでしょ。草原は比較的安全だけど、油断はダメなんだからね」


彼女はゆっくりと私をおろすと、不満げな私の顔を見つめる。



「真面目に講習受けないと、シーリルさんから預かったリードを着けるからね」


「嘘でしょ?!」シーリルさんそんな物まで用意したの?!



私が固まっていると、彼女はクスクスと笑う。


「冗談よ。さ、あっちに手頃な採取場所があるから行きましょ」



彼女は踵を返すと、弾むような足取りで歩き出す。


「むぅ…」私は彼女の長い金髪と特徴的な耳を見ながら後に続くのだった。





今朝、私はシーリルさんの部屋で野外講習を担当してくれる冒険者さんを待っていた。


いつものようにシーリルさんとクッキーを食べながら。



ポケットから無限にクッキーが出てくるのは止まった。止まったんだけど。


背負ったカバンの外ポケットから出てくるんだよなぁ。いいのかな、これ?



私のポケットとカレンさんの部屋が空間魔法で繋がっていたのは昨夜判明した。


ルシエルさんによって、その接続(?)は無事解除されたんだけど…



おそらくバレるのを想定していたカレンさんの仕業だろう。懲りてませんね。


私にとっては、いつも美味しいクッキーが食べられるのでありがたいんだけど。



常時接続していなければバレないのかな?


とか考えていたら、シーリルさんが私の腕輪に視線を向けてきた。



「昨日まではそんな腕輪はしていなかったと思うんだけど…」鋭いですね、教官どの。


「前から持ってたんですけど、つける気分になって」私は準備していた答えを返す。



「ふーん、なんか魔力を感じるんだよねぇ…」ちょっと、それ以上の追求はやめて。


「量は大したことないけど、質が尋常じゃ無いみたいな」ギロリ、と私の目を見てくる。



ひぇぇ、シーリルさん怖いです。か弱いゲッシーを虐めるのはやめて下さい。


私がなんと答えようか焦っていると、部屋のドアがノックされた。



「エミーです。入ってよろしいですか?」落ち着いた軽やかなな声。


シーリルさんが返事をすると、女の子が入室する。新人さん達より少し年上かな。



「…ん?」スラリとした体躯と綺麗な金髪。どこかで見たような…?


エミーさんを見つめていると、彼女と目が合った。ちょっと気まずそう?



シーリルさんは彼女に椅子を勧めると、お茶の用意をしながら話してくれる。


「彼女は若手の有望株でな、新人の指導も手伝ってくれている」



エミーさんちょっと恥ずかしそう。耳もちょっと赤くなってるよね。


ん、耳…?人間とは違う、優雅な感じで少し伸びがあり、先が尖った感じ。



「ひょっとして、エルフの方ですか…?」思わず聞いてしまう。


「なんだ、今気づいたのか」シーリルさんが笑う。「この辺りでは珍しい種族だしな」



エミーさんは両手でカップを持ち、顔を隠すようにしてお茶を飲んでいる。


恥ずかしがり屋さんなのかしら?



「てっきり顔見知りだと思ってたんだが…」シーリルさんが首を傾げる。


「ほら、二人とも朝食は食堂だろう?」食堂で朝食…食堂…、あ。



「謎のストーカー…」、「違いますっ!」エミーさんは食い気味に否定する。


私は彼女を見つめる。こんなに綺麗な金髪は、外で見たことないしなぁ。



シーリルさんは面白そうに彼女を見ている。エミーさんはなんとか話始めた。


「その…、新しく来た長耳さんってどんな方なのかなって思って…」



長耳さんっていうのは、新人さん達がつけてくれた私のあだ名である。


ギルドで会う人たちの半分くらいはこの名前で呼んでくれる。



今までは「長耳のエミー」というのが彼女の通り名?というか二つ名だったらしい。


「嫌だった訳じゃないんです。みんな親切にしてくれるし…でも何というか」



釈然としない気持ちがあったみたい。エルフはみんな長耳だしね。


それで私が長耳と呼ばれて、どう思っているのか気になっていたんだって。



優しい子なのね、普通そこまで考えないよ。



「これほどの美耳は他に見ませんし」私は両耳をピコピコと動かす。


「まぁそう呼ばれるのは当然じゃないでしょうか」胸を張って答える。



「そういうことらしいな」シーリルさんは私をジト目で見ながら言う。


「全くもって気を使う必要は無さそうだ」なんでやれやれって顔してるんですか。



「何なら彼に新しいあだ名か二つ名を考えて貰ったらどうだ?」と、シーリルさん。


「良いんですか?是非お願いしたいです」エミーさんが嬉しそうに答える。



「シーリルさんの二つ名、かっこいいなぁって思ってたんですよ」


「私の…、二つ名…?」シーリルさんの視線が突き刺さる。



「剛腕のシーリルって、カッコいいですよね」エミーさんが無邪気に答える。


「憤怒のシーリルも良いですよね、憧れます」ストップ、その辺でヤメて。



「…説明してもらいたいなぁ…」シーリルさんがゆっくり立ち上がる。


私はゆっくりとカップをテーブルに置く。姿勢を戻すと見せかけて背後に跳躍!



間一髪シーリルさんの手を躱すと、背後のドアへ走る、はフェイントで窓へ!


こんなこともあろうかと!窓を空けておいたのだよ!そのまま外へダイブ!



…ここ2階じゃん。ちょっと早まったかなぁ…?


なんとかなるでしょ、と思った瞬間何かに抱えられてふんわりと着地する。



私を抱えているのはエミーさんだった。そのまま外に向かって走り出す。


「まったく、ヒヤヒヤさせるわね」走りながらクスクス笑う。



「確かに鍛えがいがありそうね、さあ、行くわよっ」エミーさんやる気ですね。


今日は無事に帰れるだろうか、と思う私なのだった。


























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