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あるゲッシーの異世界ひとり旅  作者: Kengoh


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13/16

あるゲッシーと自由なあの人


「ふんふーん、マヨの無い唐揚げなんて〜」


夜の帳が下りる頃、私は宿屋の自室へ向かっていた。



こちらは夜になると、出来ること少ないんだよね。


たっぷり寝れるし、朝は早いから超健康的なんだけど。



ちなみにここの食堂でも鶏の唐揚げっぽいメニューがあった。


かかっているソースがマヨっぽくて絶品だった。おかわりもしたしね。



今日も朝から訓練場と、小さい図書館みたいな資料室へ行ってきた。


楽しいんだけど、そろそろ外も見て回りたいなぁ。



と思ってたら、タイミング良く屋外研修?のお話が来た。


明朝には担当の冒険者さんを紹介してくれるんだって。



街も見たいんだけど、外出する時ついでに見れるかな?


あ、街に行っても私お金持ってないじゃん。こっちも何か考えないと。



食堂の食事はギルドマスターさんの御厚意で無料なんだけど…


やっぱりずっと甘えるわけにはいかないもんなぁ。



ゲッシーカフェとかどうだろう?などと考えつつドアを開ける。


「……うわぁ」



私の借りてる部屋は、ベッド4つでいっぱいのはずなんだけど…


なんか広くなってない?シャンデリアっぽい照明もあるんだけど?



とりあえずドアを閉める、部屋間違えたかな?


…合ってるよな?私は再びドアを開ける。ちょっとだけ。



部屋にはフカフカの絨毯が敷かれている。もうここで寝れそうだ。


右手の壁は、背の高い本棚が並んでいて、高そうな本がびっしり。



左手は様々な器具や書類が整理されて置かれている。すごい量だ。


「何をしている。入ってこい」固まっていると、奥から声がかかる。



「その声は…ルシエルさん?」部屋の奥に目を凝らす。


1番奥には大きなデスクがあって、そこに見知った顔が座っている。



私は部屋に入ると、奥まで歩みを進める。


「なんで魔王陛下が冒険者用の4人部屋にいるんですか…」



「ふむ…息災かと思ってな」相変わらずクールですね。


「面倒なので、ここと私の部屋を一時的に繋げたのだ。空間魔法という」



そっちの方が面倒だろうと思う私がおかしいのだろうか?


「後は…彼女がうるさくてな…」ルシエルさんがため息をつく。



「こちらにおかけ下さい」涼やかな美声。


振り向くと、来客用のテーブルにカレンさんがお茶の用意をしてくれていた。



「わぁ、カレンさん、お久しぶりです」私は彼女に駆け寄る。


彼女は穏やかな微笑みを浮かべる。「お元気そうで安心しました」



「10日も経っていないのだ、変わりなど無いだろう…」特大のため息。


「毎日毎日、元気だろうか、困ってないだろうかと何度も何度も…」



カレンさんは平然としている。魔王陛下のお話を完全スルーですか。


この主従の力関係がいまいち分からない。



カレンさんは来客用のソファーにそっと腰をおろす。


私は当然のように彼女に抱えられて、彼女の膝の上に着地。



いや分かってましたけどね。やっぱり恥ずかしんですよ、これ。


カレンさんは嬉しそうだ。…まぁ良いか。



カレンさんのクッキーに目を向ける。ん?ちょっと香りが違いますね。


え、新作?カレンさん手作りの?食べます食べます、下さい!



カレンさんが出してくれたクッキーを一口、うんやっぱり美味しい。


甘さと香ばしさ、しっとりとサクサクのバランスが絶妙だ。うっとり。



「完全に餌付けされているな…」ルシエルさんはすっかり無表情だ。


いいじゃないですか、美味しいものをくれる人は良い人です。



「そのままで構わん、こちらは用件を進めるぞ」ルシエルさんが指を振る。


テーブルの上が淡く輝くと、何かが現れる。



腕輪と…カバン?小さいリュックかな?


私が見ていると、ルシエルさんがブレスレットを手に取る。



「これは簡易型の通信装置だ」嵌め込まれた宝石を私に向ける。


「私とヒヨリのみ通信できる。3人での通話も可能だ」



腕輪タイプとは便利そうだなぁ。マニュアルとかいただけます?


「妙なところで細かいのだな…」すみません、こういう性格なもので。



「…そちらは魔術処理を施したカバンだ」ルシエルさんが目をやる。


私が背負って邪魔にならないくらいだから、かなり小さい。



「見た目は小さいが、かなり大きな物まで収納できる」


おお、マジックバッグというやつですか。異世界モノの定番ですね。



「ひょっとして無限収納とか時間停止機能なんかも…」


「貴様のその突飛な発想は何処から来ているのだ…?」



スペースは部屋ひとつ分くらい、時間停止は無いそうだ。残念。


これ以上高性能だと、色々目立つので危険もあるらしい。怖いねぇ。



私はカレンさんに手伝ってもらって、カバンを背負う。


「お、ピッタリだ」上半身を捻ったり、腕を振ったりしてみる。



「あ、ごめんなさい…」私の耳がカレンさんの顔にペシペシと当たる。


「…いえ、お気になさらず」カレンさん、満面の笑みなんですけど。



顔に「もっとやれ」と書いてあるような気がするのは考えすぎだろうか?


「そのカバンは、カレンが作ったのだ…」ルシエルさんが疲れた声で言う。



「最初は飛行機能や自動迎撃機能をつけるなどと言ってな…」


サイズ的に難しいと、3時間かけて説得したそうだ。お疲れ様です…。



カレンさんは、カバンを背負った私を見ながらニコニコしている。


カレンさん、あんまり上司を困らせるのは良くないと思いますよ?



「お二人とも、私のために色々とありがとうございます」


私はピョンと立ち上がると、二人に深々と頭を下げる。



「よい、今後面倒事を頼むかむしれぬのでな、些事だ」とルシエルさん。


カレンさんはニコニコしながら頷いている。





「さて、カレン…」ルシエルさんが本日最も疲労した顔で言う。


「もう満足したであろう、いい加減話せ」なになにどうしたの?



「こやつは自分の部屋から、何処かへ空間魔法を繋いでいるのだ」


空間魔法って、ルシエルさんの部屋をここに繋いだ魔法ですよね。



「安全面からも簡単には認められぬ、しかも常時接続しておる…」


魔王城の備蓄魔力がどんどん減ってるんだって。



それって結構マズイことですよね。私はカレンさんを見る。


「え…?」カレンさんは私をチラチラと見ている。まさか…?



私はポケットに手を入れる。無くならないクッキーの謎は…もしかして。


私はルシエルさんさんを見つめながら、ポケットからクッキーを出す。



訝しげなルシエルさんの前に、クッキーを一つ、二つ、三つ…


やがてテーブルの上は、クッキーの山が出来た。



「カーレーンー!」


これ、私も怒られる?私は悪くないよね、ね?





















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