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あるゲッシーの異世界ひとり旅  作者: Kengoh


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あるゲッシーの超必殺技

新人さん達のフォローをする。


うん、とりあえず命に関わるような状態の人はいないね。



「モンド先生怖い…」泣いてる子はどうしたらいいんだろ…


うんうん、いきなりは怖かったよね、でも大丈夫だからね。



頭を撫でるていると、他の新人さんも半泣きで寄ってくる。


ちょっ、大勢で抱きつくのはやめて。後、耳を触るのはダメだから。



新人さんの集団に埋もれてもがいていると、シーリルさんが救助にきてくれた。


「大人気だな」クスクス笑いながら、私の襟を掴んで持ち上げる。



「ウチに就職するなら推薦するぞ、覚えておいてくれ」


いや勉強しに来たんですけど。お気持ちはうれしいですけどね。



新人さん達には、私からお菓子を渡して解散となった。


というか、お菓子全然減らないんだけど、どうなってるの?



「バイバイ、長耳さん」、「長耳さん、ありがとー」新人さん達が帰っていく。


いい子達だね。でも、長耳さんって何?



私が考えこんでいると、モンドさんが近づいてきた。


「いやすまん、少し我を失ってしまった」一応反省しているようだ。



「新人達があんなに怖がるとは…」あれれ、結構落ち込んでる?


根は真面目な教官なんだね。ちょっと気の毒になってきたな。



「そりゃ突然でしたからね」私は頑張ってフォローを試みる。


「いきなり人格変わって、大声で叫びだしたら、子供は怖がりますって」



モンドさんの顔色がさらに暗くなる。待て待て、最後まで聞きなさい。


「普段からあれで良いんじゃないですか?本当のモンドさんなんでしょ」



二人がまじまじと私の顔を見つめる。


もう明らかに何を言ってるんだという顔してるね、でも負けませんよ。



「まだ幼い新人さん達の教育を任されるということはですね」私は続ける。


「モンドさんは周囲の方々に信頼されてるってことじゃないですか」うんうん。



「真面目で厳しいモンドさんから、優しいモンドさんに変わるだけです」もう一押し。


「みんな新しいモンドさんにすぐ慣れて、受け入れてくれれば…」



えーと、モンドさん下向いちゃってるなぁ…


あー、出しゃばって大失敗って感じかなこれ?どうしよっか…



シーリルさんはどうすんのよこれ?っていう顔でこっち見てるし。


「あ、あの、モンドさん、そのですね…うむぎゅ?!」



「そうよねっ!これくらいで落ち込んでられないわ!」


モンドさんが私を胸に抱え込んでいる。大胸筋の圧がスゴイ。



「ワタシ、あの子たちのためにも頑張るんだから!ありがとねっ!」


モンドさんは感極待ったように私をギュッと抱きしめている。もう少し手加減をですね…



「た、立ち直れたようで何よりです…」


シーリルさん助けて、私が立ち直れなくなる前に…





「ふむふむ、旅をするために基本的な知識を学びたいのね」


私の説明を聞いてモンドさんがうんうんと頷く。



モンドさんは普段の調子を取り戻したようだ。普段は知らんけど。


まだ訓練場である。基本的な体力測定をした後の休憩時間ね。



「身体能力としては問題無いかな…戦闘抜きなら」


シーリルさんはメモっぽいものに何か書き込みながら呟く。



「しっかし素早さ特化にも程があるだろう、極端すぎないか?」


シーリルさんはちょっと呆れ気味である。あ、可愛さも忘れないでね。



「屋外活動の基本的な知識は別に学んでもらうとして」モンドさんが言う。


「とりあえず、基本的な戦闘技能を見せてもらいましょうか」



あ、やっぱりそっちもやるのね。戦闘とかできるだけ避けたいんだけどなぁ。


盗賊と遭遇なんてこともあるから、基本的な武器の扱いは必須なんだって。



戦うだけじゃなくて、攻撃を避けるために最低限の知識は必要らしい。


そう言われると、そういうものかなぁとも思うんだけどね。



モンドさんに手招きさて移動する。訓練用の武器置き場だ。


木製の武器が木で作ったラックみたいなところに立てかけてある。



小剣、細剣、短槍、棍棒、小弓、小盾と揃っている。


相手に当たる部分は布で覆ってあるので、初心者でも安心仕様だ。



「使ったことがある武器があれば選んでね、無ければ教えるから」


モンドさんが微笑む。「初心者は…槍かしらねぇ、やっぱり」



フフフ…誰に言ってるのかね。もしかして私かね?


こっちは前世の死にゲーで武器コレクターだったのだよ?全部使えるわ。



私はラックから小剣を手に取り、重さを確認する。


ブンブンと振っていると、危ないからやめなさいと怒られた。



モンドさんが小剣と小盾を手に取ると、対戦スペース?に移動する。


「さ、反撃はしないから、好きなように打ち込んできて良いわよ」



盾を構えたモンドさんに相対する。む、流石に隙が無いね。


私は両手で小剣を正眼に構え、腰を軽く落としてモンドさんを見つめる。



ふむ、じゃあ本気で行かせてもらいます…よっと。懐へ飛び込む。


下段から盾を持つ手を切り上げ、弾かれる、読まれた?!



返す手で胴を狙う、浅い。モンドさんが少し体を捻る。その隙に右へ飛ぶ。


剣を持つ手首、今度は剣で弾かれる。その勢いで足を狙うが届かない。



さらに右へ飛ぶ、と見せかけて左へ、盾の死角、再度切り上げ、弾かれる。


それも予想済み、弾かれた反動で回転、盾に体重を乗せた一撃。受けられる。



さすが教官、一撃も入らない。だが全て計算の内。


私は訓練場に来てから、一度も「本当の素早さ」を見せていない。



私は攻撃を続けながら、慎重に機会を待つ。


体は思った以上に動く、あれも当然使えるはずだ。



前世の死にゲーで得意だった技、地味でありながらどんなボスにも通用した。


剣を槍のように構え、鍛えた脚力で相手の懐へ飛び込み、叩き込む。



私の連撃でほんの僅か、モンドさんの重心がブレる。今!


「貫通突きっ!」



カコンっ



…この体になって最速の踏み込み、最強の突き…だったよね?


誰にも見せてない最高の素早さのはずなんですけど…普通に止められてる?



「はい、終了、お疲れ様ぁ」モンドさんの笑顔、息も上がって無いとか!?


「良いわね、やる気が伝わってくる攻撃だったわぁ」



訓練場でへたり込んだ私の頭を、モンドさんがポンポンと優しく叩く。


「後は訓練と経験ね、ホント先が楽しみだわぁ」モンドさんはニッコニコだ。



「ふふ〜ん、測定の時には手を抜いていたってことなのかなぁ」


しまった、シーリルさんの笑顔が強張ってる、いや違うんですって。



「モンド、明日からの戦闘訓練では厳しく鍛えたやってくれ」


「もちろんよ!手取り足取り頑張って教えちゃうからね!」



へ、戦闘訓練はお願いしていないんですけど…シーリルさん?



「教官に隠し事をするような奴には厳しくしないとだよなぁ?」


シーリルさんは私の頬を両手でグニグニする。痛いです。



「ね、お願い。私も一人だと新人ちゃん達と顔を合わせづらいし…」


モンドさんもモジモジしながら上目遣いで言ってくるし。



「良いよな?ヒヨリにも頼まれたし、キッチリ鍛えてやるからな…」


分かった、分かりましたから!痛い痛い!ごめんなさいってぇ!



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