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俺の方が硬い、信じないなら触ってみろ!

結局, 図鑑の強制キャンセル機能が失われたことで, キャタピーは無事に緑色のバナナのような姿のポケモンへと進化を遂げた。どこかぼーっとした表情をしている。 言うまでもなく, あのスケッチに描かれて đạt レックウザとは似ても似つかない姿だ。


『トランセル。ニックネーム:レックウザ。さなぎポケモン。ピジョットの大好物で、食感はサクサク。』 図鑑が非情な解説を読み上げる。


サトシは力なく, 動かないトランセルをそっと抱え上げた。意外にもずっしりと重く, 超人的な腕力を持つサトシでさえ少し手応えを感じるほどだ。 (将来, もしバトルで勝てなくなったら, ポケモンを直接投げつけるのもいい選択肢かもしれないな……) 「トランセル……レックウザのことはもう考えない。でも, 俺たちの手にはまだ輝かしい未来が握られているんだ!」 サトシは涙ながらに語りかけた。 「トラン……トラン……!」 トランセルもまた, 瞳を潤ませて応えた。


カスミ:「……」 (この光景, どうしてこんなにシュールなの?)


「ところで, どのど畜生が俺のBボタンをむしり取ったんだ?」 サトシが図鑑を確認すると, ボタン跡は綺麗に処理されており, 汚れ一つない。犯人がかなりの熟練者であることは明白だった。 さらによく見ると, Bボタンがあった場所の下に小さな文字が一行刻まれていた。 『いい人になれ。』


それを見た瞬間, サトシは怒髪天を衝いた。犯人を見つけたら, トランセルを顔面に叩きつけてやると心に誓った。


レッド:「……(やれやれ)」


…… 二人は荷物をまとめ, ニビシティを目指して出発した。トキワの森は虫タイプポケモンの楽園だが, 丸一日経ってもキャタピーとビードルくらいしか見かけない。 さすがのハイテンションなサトシも, そろそろ見飽きてきていた。


先を急いでいると, 突然前方から一人の影がこちらに突っ込んでくるのが見えた。そして, サトシの頭上めがけて一閃が振り下ろされた! 鋭い刃が叩きつけられる!


「ガキンッ!」


サトシが反射的に腕を上げて防ぐと, 刃は二つにへし折れた。 「くっ, なんて強靭な肉体だ!」 その影は折れた刀を手に素早く飛び退き, 驚愕の表情を浮かべた。


サトシ:「???」 (強靭って何のことだ? お前, プラスチックのふにゃふにゃの刀で侍ごっこでもしてるのか?)


よく見ると, その人影は血のような真っ赤な鎧を纏い, 頭にはいかつい兜を被っていた。 「やあ, 僕は虫取り少年のサムライ! 現在, 強くてしなやかな侍の修行中なんだ!」


サトシは眉をひそめて返した。 「いや, お前は虫取り少年だろ」 プラスチックの兜を二つ被って侍のフリ? その前にランニングシャツと短パンを隠せよ。


サムライ:「……」 「とにかく, 僕はマサラタウンから来たトレーナーを探している。君, マサラタウンの出身だろ? 勝負だ!」サムライが厳しく叫んだ。 「いいぜ, サムライ! ならマサラタウン出身の超ルーキー、この俺が受けて立つ!」サトシは高揚感を漲らせ, モンスターボールを掲げた。


「僕はサムライだ!」サムライは憤慨し, 先にポケモンを繰り出した。 赤い光が走り, 灰褐色の虫が現れた。筋骨隆々の体に, 頭には二本の硬く鋭い角がある。 『カイロス。一般的ではない虫タイプポケモン。非常に力が強く, 肉はあまり美味しくない。』 図鑑が自動で読み上げる。


サムライ:「???」 (なんでこの図鑑, トレーナー並みに嫌味なんだ!?)


「そうか, だったら君に決めた, ピカチュウ!」 サトシは最強の三将軍の一角を送り出した。 「ピカ……」 しかし, ピカチュウはその場でベッドを作り, すでに熟睡していた。小さな寝息まで立てている。


サトシ:「……」 「なら, 君に決めた, ピジョン!」サトシはめげずに二番目の将軍を繰り出した。 「いいわねサトシ。ピジョンの『ひこうタイプ』は、カイロスの『むしタイプ』に対して有利よ」カスミが思わず褒める。


「あ、じゃあ戻れ, ピジョン」サトシはピジョンを引っ込めた。


カスミ:「???」 (あたし、タイプ相性表を覚え間違えたかしら?)


そしてサトシは, 三番目の将軍を解き放った。 「トランセル? そんなの, ただの的じゃない」それを見たサムライは鼻で笑い, 命令を下した。 「行け, はさむだ!」


カイロスは猛牛のように突進し, 土煙を上げながら頭を下げた。巨大な角の間にトランセルを捉え, 真っ二つにへし折ろうと力を込める。 「負けるな, かたくなるだ!」サトシが素早く命じた。 トランセルが目を細めると, 金属的な光沢が走り, 防御を象徴する青い光が灯った。 硬くなった。


「パキッ……」 凄まじい力の下で, 鋭いカイロスの角の方に、硬い殻のせいで亀裂が入った。 「くっ、戻れ、カイロス!」 サムライは慌ててカイロスを戻し, 二匹目のポケモンを出した。 それは、もう一匹のトランセルだった!


「そう来るなら……トランセル, 僕たちも『かたくなる』だ!」サムライが自信満々に言った。 硬さにおいて, 彼は誰にも負けるつもりはなかった。 その体には同じく金属光沢が宿り, サトシのトランセルよりもさらに黄金色に輝いているように見えた。


「ちくしょー, こっちも『かたくなる』だ!」サトシも負けじと叫ぶ。 「なら、さらに『かたくなる』!」 「じゃあ, そっちよりさらに硬くなってやる!」 「かたくなる!」 「かたくなる!」 …… 「俺の方が硬い!」 「俺の方が明らかに硬いぞ! 信じないなら触ってみろ!」 「だったら触ってやるよ!」サムライも頭に血が上り, 前に歩み出てあちこちをベタベタと触り始めた。 「やっぱり俺の方が硬いじゃないか!」と言い返す。


サトシも我慢できずに駆け寄り, 相手のトランセルを隅々まで触りまくった。 「お前のはもうフニャフニャだ! 俺の方が硬いんだ!」 「かたくなる!」 「かたくなる!」


カスミ:「???」 (……なんなのこのセリフの数々, 何か変な意味が含まれてない? 幻聴でガオガエンやルガルガンの咆哮が聞こえてきそうだわ……)


…… バトルは一時間以上続いた。この時, 両方のトランセルは黄金色の光を放っており, その硬さが絶頂に達したことを示していた。 「くそっ、これ以上硬くなれないのか……」サムライは苛立っていた。 「ちくしょー, 俺もこれ以上硬くできない!」サトシも眉をひそめ, 額からは大粒の汗が転がり落ちた。


「なら, たいあたりだ!」サムライが突然の奇襲を仕掛けた。 トランセルの体は黄金の光に包まれ, 突撃する黄金の戦神と化した。サトシのトランセルの頭に激突し, トキワの森に金属音が響き渡る。 HP-0。


「ガキンッ!」 サトシのトランセルも負けじと黄金の輝き(色違い風)を放ちながら突っ込み, 凄まじい金属音を響かせた。 HP-0。


「たいあたり!」 「さらに『たいあたり』だ!」


カスミ:「……」 (『かたくなる』を見守るより苦痛なのは……もしかして, このまま数時間も『たいあたり』を見続けることになるの!? 地獄に来ちゃったのかしら……)


…… やがて「たいあたり」は10往復に達したが, 両方のトランセルのHPは依然として満タンの状態を維持していた。 サムライは肩で息をしながら, 思わず感嘆した。「強い……さすがマサラタウンのトレーナーだ, どいつもこいつも凄すぎる……」


「はぁ、はぁ……お前, 他のマサラタウンのトレーナーに会ったのか?」サトシが息を切らしながら聞いた。 「ああ, 三人に会ったよ。ゼニガメ, フシギダネ, ヒトカゲを連れたトレーナーたちだ。特にゼニガメを連れたやつは, とてつもなく強かった」 「ゼニガメ? ……シゲルか, あの野郎!」 サトシは, シゲルが子供の頃「10歳になって旅に出る時はゼニガメにする」と言っていたのを思い出した。 「それで, 俺とそのシゲル、どっちが強いと思う?」サトシは思わず聞いた。 「君? ハハッ, 僕にすら勝てないようじゃ, あのフシギダネの女の子よりも弱いよ!」 「フシギダネの女の子?」 サトシはすぐに思い出した。子供の頃, 彼とシゲルが遊んでいると, いつも仲間に入りたがる女の子がいたが, サトシはいつも無慈悲に断っていた。 (男は黙って男同士で遊ぶもんだ) あの女の子は確か, ブルーとかいう名前だったか……?


レッド:「!!!」


「ふん, だったらここで負けるわけにはいかないな!」 サトシは突然帽子を後ろに回し, その瞳に炎のような輝きを宿した。 将来ポケモンマスターになる男が, 虫取り少年ごときに足止めされているわけにはいかない。


「トランセル, エレキネットだ!!」


黄金のエレキネットが吐き出され, 動けないトランセルをしっかりと絡めとった。次の瞬間, 無数の電流が弾けて駆け巡り, 相手のトランセルを直接黒焦げにした。 (ふん, 防御力が最大だっていうならどうだ? エレキネットは特殊攻撃だぜ!)


『ピピッ。トランセル, 戦闘不能。レックウザの勝ち!』 図鑑が自動で宣言した。


サムライは目を見開き, 信じられないといった表情を浮かべた。そして首を振り, 大声で糾弾した。 「そんなのありえない! 僕たちの世代じゃ, 特殊攻撃と物理攻撃の区別なんてないんだ! 君のエレキネットなんて効果がないはずだ!」


『ピピッ。相棒, 時代は変わったんだよ。エレキネットを使うトランセルは第一世代(初代)出身じゃないんだ。』 ポケモン図鑑が自動で言い返した。


サトシは頷いた。自分もよく分かっていないが, この図鑑, たまには頼りになるじゃないか。

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