あの青い空を、君と見上げる日まで

009

蓮華(れんか)はスマホで電話をかけようとした

ふと、気づく

「あ、れ？ こ、ゆー時、スマホ使えない？」

答えてくれる人はいないが、何か言葉を発していなければどうにかなってしまいそうだった

スマホの電源は入ったが、電話もラインもSNSも繋がらなかった

消防119、警察110に一応かけてみたが、どちらも当然繋がらない

災害の時は公衆電話が繋がると聞いた事があった

しかし、公衆電話のある場所など知らない

スマホで調べる事が出来ないのだから、どうにもならなかった

周囲の静寂が怖くて、なるべく声を出していた蓮華だったが、喉が限界だった

ちょうど今いる場所から少し離れた場所に1階にコンビニが入ったビルが見えた

と言ってもビルは2階部分から倒れていて、1階にあるコンビニも半分は瓦礫で埋まっていた

「梨々花(りりか)、ちょっと行って、くる、ね」

動かない梨々花に声を掛けてから立ち上がる