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「さ、そうと決めたら、出発っす」
慎次郎がいきなり言った
「え、わ、わわっ、リュック、上着ー」
蓮華は慌てて身支度を整える
玄関の鍵はきちんと掛けて、その鍵を大切にリュックの内ポケットにしまった
この鍵は大好きな叔母・広海の家の鍵だ
ちょうど1ヶ月前に梨々花と一緒に遊んでいて、光と共に気を失い、気がついたら世界が一変していた
自分の家は半壊していて、両親もおらず、住める状態ではなかった
その中でこの家にたどり着き、今までなんとか暮らせていた
感謝しても、し足りない
玄関のドアに手を掛け、呟く
「私以外の生きてる人達がいたの。どうなるかわかんないけど、行って来るね」
その様子を慎次郎は何も言わず、じっと見つめていた
「慎次郎さん、お待たせしました。行きましょう」




