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蓮華が何度呼んでも、梨々花は目を開ける事はなかった
ただ呆然とその場を動けずにいた
どれだけの時間が過ぎたろう
身体の痛みにやっと気がついた
あまりに衝撃的な光景が目の前にあったせいなのか、自分が怪我をしているという事実に気づけなかったのだ
ふと見てみると手足も含め、身体中が傷だらけだった
自分では見えないけれど、顔も痛むからきっと負傷しているのだろう
「い、た・・・い」
誰ともなく、そう呟く
返事など返ってくるはずもないのに
その時になってやっと思い出した
「そ・・・だ、スマホ、探してたんだ」
梨々花の側に落ちていた自分のカバン
ごそごそとスマホを探してみる




