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蓮華は心のどこかで、自分の家は無事で、両親が家にいるかもしれないと期待していたのだ
その期待は無惨にも打ち砕かれた
家の門は倒れ、玄関も二階の壁や屋根が落ちてきて酷い有り様だった
家の中にも、外にも、人の気配は感じない
それでも、家に入ろうと試みる
思えば玄関の鍵もカバンの中だったので、蓮華は持っていない
リビングのガラスが割れていたので、そこから鍵を外してなんとか入ることが出来た
地震の影響だろうか、家の中は棚やテレビ、冷蔵庫、食器棚、たくさんのものが倒れ、床に散乱していた
「パパ・・・、ママ・・・」
蓮華の呼び声に答えてくれる両親はいない
その場に蹲ってしまうと、涙が溢れる
「二人とも何処にいるの? 帰って来てよー」
蓮華の声だけが部屋の中に響いた




