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「ぉーーぃ、ぉーーーーいー」
走り出した蓮華に遠くから呼ぶ声は聞こえなかった
遠くで手を振りながら呼び掛けていたが、その声は蓮華の耳に届くことはなかった
「女の子、か? 水色のジャージ着た」
呼び掛けの主はそう呟く
それが北村湊斗が蓮華をはじめて見た瞬間だった
蓮華は途中、何度もつまづいたり、転んだりしながら、家までたどり着いた
やっと帰ってきた家
二階建てだが、二階部分にはどこから飛んできたのか他の家の屋根の様なものが激突して刺さっていた
二階は蓮華の部屋と父親の仕事部屋があった
父の仕事部屋はガラスも壁も破壊されていた
蓮華の部屋も一部欠けており、外から壁紙が見える状態だった
「こんなになってるなんて、、、」




