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「み・・・ず・」
スーツの男性が小さな声で言った
蓮華はすぐに肩に掛けたバッグからミネラルウォーターのペットボトルを取り出す
男性の身体に触れて大丈夫か迷ったが、お水が飲めるように頭を少し持ち上げた
「お水です、飲めますか?」
声を掛けながら男性の口元に近づける
蓮華か慎重にペットボトルの飲み口を男性の口に当てる
少しペットボトルを傾けるとお水が男性の口に入った
一口、もう一口と、少しづつ
「大丈夫ですか? もう少し飲みますか?」
蓮華が尋ねると、男性はほんの少しだけ微笑んだように
「あ。り、が・・・と」
そう言って目を閉じた
と同時に男性の身体のすべての力が抜けた
スーツの男性の目は二度と開くことはなかった




