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見覚えのあるおばさんが床に倒れていた
このお店のおばさんだ
何度も買い物したから覚えている
蓮華は直視出来なかった
けれど、生きていないのは明らかだった
倒れた棚や商品、その中から、飲み物とお菓子を少し手に取る
「ごめんなさい、これ、持っていきます」
そう声を掛けた
布製のバッグが目に入った
そこにペットボトル3本と、栄養補給になるようなお菓子5個ほど入れる
バッグを肩に掛け、お店の外に出る
その時、ふと気づいた
「寒い・・・」
7月のはず、真夏のはずなのに、寒いのだ
空を見上げてみる
一面、分厚い灰色の雲に覆われていた




