23/49
023
そう思い立ったら、とにかく帰ろうという気持ちになった
立ち上がって駅の方向を確認する
そして、歩き出す前に、梨々花のいた場所を見つめ、目を閉じた
「助けてあげられなくて、ごめん、本当にごめんなさい」
もう梨々花の姿を確認する事は出来ないが、そこにいるかのように話しかける
「梨々花、本当に大好きだったよ。たくさん、たくさん、ありがとう」
見えない梨々花に頭を下げる
「どうなるかわかんないけど、梨々花いなくて、一人で怖いけど、とりあえず家に帰ってみるね」
そうは言っても、実際に家に帰れるのか、そもそも家や両親は無事なのかさえ、蓮華には確認する術すらない
だからこそ、蓮華は自分で動かなければならないと思った
他に生きている人の気配を感じない、蓮華しか生きていない場所
この状態でこの場所にとどまったとしても、救助は望めそうもないのだから




