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家に帰りたい、そう思った途端、蓮華は“ここ”に居るのが怖くなってしまった
心の中が恐怖でいっぱいになる
「帰りたいーー」
そう叫んでも、誰も答えてはくれない
家に連れて帰ってくれる人もいない
帰りたいのであれば、自力で帰るしか道がないのだ
「ここから3駅、電車なら10分ちょいなのに」
当然、電車は動いてないだろう
自分の最寄駅からなら、毎日歩いているから道もわかる
しかし、梨々花や他の友達との遊び場であったこの駅から歩いて帰った事など一度もない
なんとか家に帰りたい
もしかしたらパパとママが帰ってきているかもしれない
ほんの少しの希望が蓮華の胸に宿った
「そうた、線路を歩けば最寄駅までなんとか行けるんじゃないかな」




