18/60
018
なんとかカフェのある建物まで歩いた
オシャレなガラス製のドアは無惨にも壊れていたが、中に入ってみる
お店のスタッフさんやお客さんであろう人の形がいくつも見えた
なるべく凝視しないよう、目に入れないようにトイレのあるはずの場所へ向かった
天井近くに水のタンクがある昔ながらのトイレ
タンク内の水はなんとか流れた
助かった、そう思った
生きた人間は誰もいなかったが、「ありがとうございました」とトイレを借りたお礼を言ってカフェを出た
出てすぐ、また大きな地震が起きた
小さな横揺れが来たと思ったら、すぐに立っていられないくらいの揺れ
自分も地面も、前後左右に大きく揺さぶられているようだ
また建物の倒壊が始まる
頭を庇いながら地面に伏せた




