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「ええ、3人はワインセラーや棚にあったお酒を飲みながら、防災用保存食を“つまみ”にして毎晩飲み食いしていたの」
絶句する蓮華
家族も、親族も、友達も、クラスメイトも、知らない人も、大人も、子供も、たくさん、本当にたくさんの人が命を落としているのに
あちこちにそのままになっている人の形、亡骸
今だって一歩外に出ればその姿が目に入るのに
「・・・こんな状況で、よく、そんな事が」
それだけ言うのがやっとだった
「供養のためだとか必死に言い訳めいた事を言ってたけど、ただお酒を飲みたかっただけだろうね」
「西園寺さんは独身だけど、田村さんと斉藤さんはご家族の事とか、考えないのかな。家族の事を思うと、こんな状況で酒盛りなんて出来ないよ」
優と湊斗が言った言葉に蓮華は納得してしまう
蓮華自身、ずっと一人で過ごしている間も両親や叔母・広海、そして梨々花の事を考えない日はなかった
食事をちゃんと摂る気にならず、少量のクッキーなどしか口に出来なかったのもそのせいだ




