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011

口元から水が溢れ落ちるのもお構いなしに蓮華(れんか)は水を飲んだ


500mlのペットボトルは、あっという間にカラなった


もう1本取り、今度は少しづつ飲んだ


喉の渇きは少し落ち着いた


「お金も払わずに勝手に飲んじゃったら、万引きになっちゃうのかな」


小さな声で(つぶや)


そんな状態ではないことは理解している


でも、今までの日常の中にあった常識が蓮華の頭をよぎったのだ


ふと足の力が抜け、床にしゃがみこむ


「これって、夢じゃないの? 本当に現実なの?」


泣きたいのに、泣けない


梨々花(りりか)の姿が目に焼き付いていた


本当の事とは思えない


夢であってほしい、夢なら早く()めて欲しい、そう願った

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