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ウルトラヒロイン異世界へ往く  作者: 唐変木


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04 盗賊襲来

瑠理香がこの村の世話になってかれこれ10日以上は経っただろうか。

村の人たちともだいぶ打ち解けて来て、巨体で怪力の女の子はある意味村の人気者になっていた。

だが、気にかかることがひとつある。変身できないのだ。

あれから2回ほど夜中にこっそり抜け出して、村からだいぶ離れたところで変身を試みたのだが、服装も変わらずたぶん顔や髪色も変わっていなかったのだ。


(このままこっちの世界で普通の(?)女の子として生きていくのかなぁ・・・まあ、それもいっか)

そんなことを考えながら、今日も畑仕事を手伝っていた時だった。

何やら村の入り口の方が騒がしいのに気が付いた。

「なんかあったのかな?」

すぐ近くで畑作業をしていたおばちゃんも手を止めて騒がしい方に視線を向けている。

「う~ん、たいしたことなけりゃいいけど、盗賊とかだと厄介だねぇ。。。」

「と~ぞく?そんなのいるの?」

「そうだね、こっちじゃあ自分たちの身は自分たちで守らなきゃだからね。」

「でもさ、国に税を納めてるんでしょ?国は守ってくれないの?」

「建前はね。でもそんな余力は無いんだろうね。特にこの辺りは国境近くの辺境だから盗賊も多いのさ。」

いやいや、ふつう国境沿いだったら兵力を投入しておくだろう。と普通は思うのだが、この世界では国境の意味はあまりなく、奪われたら奪い返せばいいという発想のようだ。

聞けば、この村も数十年前までは隣国の領土だったらしい。

「まあちょっと気になるから見て来るよ。」

瑠理香は農具を放り出して村の入口へ走っていった。


「どうしたの~?」

瑠理香は何人かの男性が集まっていたので声をかけてみた。

「おっ、ルリカちゃんか。いや、なんか物騒な話が回ってきちゃってな・・・」

「おいっ!女の子にそんな話・・・」

ひとりの男性が説明しようとしたが別のひとりがそれを止めようとした。

「いや、ルリカちゃんには言っといたほうがいいだろ!この村で一番つええんだから!」

「そりゃそうだけど・・・」

止めようとした男が口ごもった。

「あ~、気を使わなくていいよ。アタシができることならなんだってやるから!」

瑠理香が男たちの眼前に突き出す巨大な胸をドンっと張った。

「頼もしいねぇ。実は、盗賊が来そうなんだがどうやら後ろ盾があるみたいでな。盗賊だけなら何とか追っ払えると思うんだが軍隊まで来られるとちょっと厄介なんだ。」

つまり、盗賊と隣国が手を組んだってことね。

「いちおうこっちも軍隊の派遣要請をしたんだけど、どんなに早くても10日はかかるからなぁ・・・」

「盗賊はどのくらいで来ちゃうの?」

「早ければ今日にもやって来そうな勢いだ。もう、向こうの村はやられちまったらしい。」

たぶん向こうの村とはここから一番近い村のことだろう。

「確かあっちだよね。」

瑠理香は村の向こうに広がるかなり広い森を指さすと男たちは頷いた。


それからの皆の動きは早かった。老人と女子供は2番目に近い隣村への避難の準備を始め、一番近い村には早馬を飛ばす。

男たちは避難準備の手伝いの合間に武具の確認だ。

瑠理香も防具の提供を受けたがサイズが合うものが無いので断念し、格闘技が得意なので手甲だけ装着することにした。

瑠理香自身も身軽な方が動きやすいのもある。


避難の馬車が出発してしばらくすると、森の方が少し騒がしくなってきた気がした。と、その時だ。次々に森から何かが出て来るのが見えた。

「来たぞ~っ!」

弓隊が一斉に弓を構え、相手の弓隊が体勢を整える前に一斉斉射だ。盗賊たちも負けじと応射する。

瑠理香は冷静に戦力分析をしていた。数は互角だが、森の中にあとどれだけいるかわからない。まずは目に見える範囲の盗賊だけでも何とかしたいところだ。


「行くぞっ!」

弓矢の応酬が一瞬切れたところを見計らって、村のリーダーの男が声をかけ、男たちは手に剣や槍を持って果敢に突進していく。瑠理香はその中団にいた。

先頭が敵の先頭にぶつかった瞬間に瑠理香は飛び出して、瞬く間にふたりを殴り倒した。

ひとりは横っ飛びに数m吹っ飛んで地面に叩きつけられ、もう一人は拳を振り下ろされたので真下に叩きつけられ後続の男たちに踏みつけられた。

そのまま瑠理香は先頭の剣士集団を突っ切って弓隊に襲い掛かった。


やたらでかい女が突っ込んでくる。と慌てて矢をつがえようとするが時すでに遅く、弓隊はことごとく瑠理香ひとりによって叩きのめされていった。

(初戦は勝ちかな)

そう思って背後に戻ろうとした時だった。バキバキッ!という木々がへし折れる音とともに、20mはあるその木々と変わらない大きさのものが現れたのだ。

「あれ、なに?」

少し遅れて突っ切ってきた村の男に聞いたのだが答えが返ってこない。

男はヘナヘナと座り込んでしまっていた。

「ご・・・ゴーレム・・・」

それだけ呟くのが精いっぱいだった。


これがゴーレムかぁ。確かに石のお化けみたいで硬そうだなぁ。

瑠理香はそうでもなかったが、村人たちは戦意を失いかけていた。

1体だけならまだしも3体もいるのだ。

(変身できれば余裕なんだけど、仕方ない。ちょっと頑張ってみますか)

瑠理香は大ジャンプから渾身の蹴りを左端のゴーレムの左足の付け根あたりに放つ・・・が、

「った~いっ!」

やはりめちゃめちゃ硬かったようで、瑠理香は右足の甲をさすってしびれを取ろうとしていた。

(これ、ウルトラヒロインじゃなかったら骨折れてるって・・・あと何回かはいけるかなぁ)

同じ場所に何回かダメージを与えれば蓄積するはずと予想して、構えに入ろうとしたその時だった。

横から何かが唸りを上げて近づいて来るのに気づくのが一瞬遅れてしまった。

ドゴォッ!

慌てて取った防御姿勢の向こうから巨大な石の塊に叩きつけられ、なすすべもなく宙を舞ってしまったのだ。中央のゴーレムの蹴りをまともに受けてしまった。


横に100m以上吹っ飛ばされ、地面にたたきつけられたが何とかダメージは最小限で食い止めたらしい。でも、身体じゅうが痛い。

(こりゃダメかなぁ・・・でも、ダメ元でもう一回試してみますか)

中央のゴーレムが列を離れて瑠理香に近づいて来る。

それに正対するように立ち上がると両腕を斜めに伸ばす。一度大きく深呼吸をした。

「変身っ!」

両腕を上げながら胸の前でクロス、これでダメなら村人を逃がすために殿を務めるしかないなぁ。。。

瑠理香はゆっくりと目を開いた。


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