01 ウルトラヒロインの大失態
瑠理香はかなり急いでいた。いや、今はルリカだった。
身長228cmの巨大女子高生。しかし、今は身長68m、体重…万tのウルトラヒロインの姿で夜空をマッハ5程のスピードで飛んでいるのだ。
普段はマッハ1~2程度なのだが、この日は色々事情があって急いでいた。
「もう・・・なんでのんびりドラマ見てるときに怪獣が出てくるわけ?あたし、なんか悪いことした?」
ぶつぶつ独り言を言いながら、まだ後半のラストシーンには間に合うと思って急いでいるのだ。
でも、後でオンデマンドで見直すのだから別にそんなに急がなくてもいいと思うのだが。
「あ、いたいた。あれね。」
遠くで怪獣が暴れているのが見える。しかし、このスピードなら10秒もかからない距離だ。
ルリカは少し減速して着地に最適な場所を探す。が、怪獣は既に街の中心部まで達していた。
たぶんどこに降りても衝撃でビルの窓ガラスは粉々になり、乗り捨てられている車は塵のように吹き飛んでしまうだろう。
「仕方ないよね。」
ルリカは既に怪獣が破壊したあたりに着地することにして、少し向きを変えようとしたその時だった。
「へ?あっ!ちょっ・・・」
軍のものか報道のものかわからないが目の前にヘリが現れたのだ。いや、少し向きを変えた時に視界に飛び込んできたのだろう。
「やばいやばいやばいやばいっ!」
まだこのスピードだと横をかすめただけでヘリはバラバラになってしまう。
ルリカは焦って着地の体制を取らなければならないことなどすっかり忘れてしまった。
何とかヘリがふらつく程度の衝撃で抑えられるほどの距離を取って前を向いたルリカの目の前には、怪獣の背中が迫っていた。
☆★☆彡
翌朝のトップニュースは、「ウルトラヒロイン大失態!」の一色だった。
推定マッハ3の超音速で怪獣に突っ込んだウルトラヒロインはそのまま地面に激突し、一瞬にして半径2km近い巨大クレーターを作り、さらに、半径10kmの範囲を木端微塵に吹き飛ばしてしまったのだ。
死者行方不明者は10万人を数え、都市機能は完全に消失して見渡す限りの荒れ地の様相を呈している。
もし、大都市の中心部だったら被害はこの10倍を軽く超えていたであろうことは疑いないほどの惨状だった。
しかし、この甚大な被害を起こした張本人は忽然と姿を消してしまったのだ。
バラバラになった怪獣の肉片はそこら中に散らばっていたにもかかわらず、何の痕跡も残さずに文字通り消失してしまったのだった。




