◯世代の勇者「エデン」
世代の勇者「エデン」この物語は現勇者候補のTOP[エデン]に関する短編小説です。
[再来の英雄]と呼ばれた彼は、世界を救い、何を感じたのか。
[世界の英雄]僕はそれに憧れた。孤独を助け、悪を断ち、光を与える。母上から教えて頂いた、大昔の物語…
「…。」
「どーしたよ?[リーン]?浮かない顔して」
「うん…。大丈夫。いつもの。」
「そっか!…いよいよだな。」
「うん。」
僕の隣に居る人は、昔の親友。……大切な人だった。目を奪う綺麗な黒い髪を持つ彼は、人々に多くの光を与えた。
この世界に生まれて、23年。僕達は世界を救った。多くの仲間を失った。…みんなが居たから、僕達は成し遂げた。
「…ねぇ……。…?。ふっ…。やっぱり良いや!。…。」
「…はぁ…。こんな日ぐらい…笑顔でいようぜ?…終わったら話聞いてやるから…みんなの前でそのオーラはやめてくれ。」
「…ごめん。」
「…顔に出るなら目瞑っとけ。ほら、始まるぞ。」
「うん。」
彼と僕の目の前のドアが開かれる。僕は目を瞑り、彼は笑顔で左手を上げた。人々は僕達を見ると、大きな歓声をあげ、拍手が広場を埋め尽くす。
「…。」
「…顔に出てる。いつもみたいに眼帯付けとけって」
「…大丈夫。」
「はぁ。手握ってやるからついてこい」
「…うん。」
僕は彼の右手を握る。歓声と拍手が耳に干渉し、不快感が募る。その度僕は、昔の僕と対面する。
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「ぼくはえいゆうになったの?」
「…うん。英雄になれた。」
「!!やった!」
「…ねぇ。教えて欲しい。…どうして君は。英雄になりたいの?」
「?カッコいいから?」
「…?。それだけ?。」
「うん!カッコいいでしょ?」
「…」
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昔の僕は、とても浅はかで、未来を見ない馬鹿だ。だから…こんな思いをする。
「恩方々に[再来の英雄]の称号を与え、この世界の所有権を…」
みんなはきっと知らない。考えない。どんな思いで、今ここに立っているのか。
「…。」
「ありがとう御座います。」
考えるだけで…頭がおかしくなる…。
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うるさいイベントを終え、部屋の中で緑色の月を眺める。目を瞑り、頭の中で膨れ上がる思い出が、熱く頬を濡らす。水滴が落ち、声にならない声を押し殺し、布団に埋まり帰る。
「……いいよ。」
扉向かって囁くと、親友が扉を開けた。悲しそうに布団に腰掛け、僕の頭を触る。
「…頑張ったな。」
「うん…。」
「…おう。…楽しかったな。これまで。…色んなことがあったな。」
「うん。楽しかった…。」
「あぁ。」
「…###は…大丈夫?。」
「ばーか。俺よりお前の方がヤバいだろ。…無理すんな。」
「…###…。あの日から笑えてない。…本当に大丈夫?。」
「!!…隠せねぇな。お前には。なぁ、リーン。お前はどうして英雄になりたかったんだ?」
「…カッコよかったから。」
「フッ…そっか!」
「###は?」
「……俺は、楽園を作りたかった。みんなが笑って楽しめる様な。争いのない。楽園を。」
「…。」
「知ってるか?リーン。はるか昔、世界を作った神様は、みんなが暮らす楽園を作ったんだ。」
「…神様が?。」
「そうだ!。[エデンの楽園]。昔読んだ本にはそう書かれてた。」
「…じゃあ作ろ?楽園。英雄には慣れたし、他にやる事ないし。」
「あぁ。そのつもりだよ。だからリーン。付き合ってくれるか?」
「…。」
「…」
「…。うん。そのつもり。」
「!!!!。はぁぁぁ怖かったぁ!!」
###は大きくため息を吐き、後ろに倒れる。
「なんだよその間。」
「んふ…。びっくりした?。」
「あぁ…めちゃくちゃ怖かった。」
彼は再び起き上がり、立ち上がると、僕の頭を優しく叩き、扉の元に歩き始める。
「じゃ!そんだけだ。今日はゆっくり休め!…俺も休んでくる。」
「…うん。」
「またな!」
「うん。またね。」
扉が閉まり、静寂の夜。天井を見上げながら深い眠りが僕を襲った。
その日が彼と会う。最後の日だった。
「……?。」
目が覚めると、僕は眩しい太陽の光に包まれ、思わず顔を隠した。少し時間が経ち、辺りを見渡すと、広い草原が、風に揺れ靡く。見たことのない景色。青い空。白い雲。訳もわからず混乱していると、僕は気付いた。
「夢…」
瞬時に、左手を丸にし、右手の人差し指を入れ、頭に付ける。[異常状態強制解除の印]を結んだが、夢は覚めない。この事から、僕は夢の中には居ないと気付く。だとしたら…
「…ここは。どこ?」
即座に僕は記憶を整理する。そこで気づいた。微かな記憶の中に登場する彼らの名前が思い出せない事に。
大切な記憶だった。なのに
「なんで…」
どうして?
「僕は…」
おれは
「[(なにが?!)]」
…分からない。わからない。分からない。わからない。
記憶が掠れて行くたびに、僕がおかしくなる。頭に激しい痛みが起こり、吐き気と不快感に襲われる。なんでこうなった?なんでなんでなんでなんで?!
「なんで…」
涙が流れ、気付けば辺りが暗くなる。黄色の月が僕を照らし、見覚えのない"それ"を僕は壊そうと印を結んだ。
でも。壊せなかった。この世界では、あの頃の技は使えなかった。
「###…!!なっ?!」
再び激しい吐き気に襲われ、僕は癇癪を起こし、地面を殴った。地面は割れ、亀裂の入った草原は衝撃波により、抉れた。なんとも言い難い不快感に頭が捩れるぐらい痛い。涙を流し、記憶を頼りに、何度も何度も考えた。
親友の名を
それでも思い出せない。ナゼ?!なんで?!どうして?!
「###!!!###!!!」
だめだ…
お
も
い
だ
せ
な
い
なんで?!ダ?!ぼくが…なにを…
右手を握り、頭を抑える。呼吸が荒くなる。無くなっていく記憶は次第に…自分の名前すら忘れてしまって…
………
「ここが例の?」
「らしいよ?まぁこんな時期、どこにどんな化け物が出るか分かんないから。それに…力の発散になるしね!」
「そうだね!!ねぇ!ヒーリェ?またあれ試そうよ!」
「いいよ〜。またノアとアイリスの共闘攻撃見たいしね〜。」
「!やっちゃう?ノア?」
「やっちゃうか!」
「あ〜はいはい。周りの損害は俺がケアするよ。…それより。」
「うん」
「あれだね」
「これまた奇怪な雰囲気だね〜。手が焼けそうだ」
「いいじゃん!屈服させようよ!」
「ダメだよアイリス。優しく助けてあげないと。」
「#############」
「あ〜〜はいはい。さっさと終わらせようか。」
「おう!」
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10日後
「はぁはぁ!!!」
「ングッ!!おーい。アイリス。生きてるか〜」
「うん…生きてる…強すぎ…」
「ヒーリェは?」
「私は死んでる〜〜」
「そっか〜」
「…」
「お前さぁ…勇者興味ない?」
「……?」
「また勧誘か…ノア…」
「当たり前だろ?こんな逸材放っておいたら今度の大会勝てねぇし」
「それは君達の喧嘩だろ?巻き込まないで欲しい。まぁ…それはそれとして…。…勇者への勧誘は賛成だ。」
「だろ?なぁお前!!名前なんって言うんだ?」
「……」
「……無視?!」
「……[エデン]…。」
「わぁお!!なんだよその間!無視されたかと思ったわ!」
「……ッ。」
「?」
「アハハハハッ!!!。ハァ!。……はぁ…なんか…もう良いや!!。」
「?」
「なんだ…明るい奴じゃん」
「僕はエデン。覚えてることがそれだけなんだ…宜しく。みんな。」
「おう!エデンだな!俺はノア」
「私アイリス!」
「俺はラペン。」
「ヒーリェ〜〜〜」
「宜しくな。エデン。」
「うん。宜しくノアさん。」
この日を境に僕はみんなと知り合った。今でもたまに過去を思い出す時がある。そんな時は眼帯を付けて眼を閉じると、不思議と勇気が湧いて来る。それに分からない事が沢山あって、怖い事が多くあっても、みんなが僕を助けてくれる。これは長年共にしたみんなとの。
「心の絆だ。」
勇者候補[時空の勇者]エデン。僕が思う異世界転生とは何なのか?と!考えた時、「異世界転生するのって、別に現実世界からじゃなくても良くないか?」的な理由を元に生まれたキャラクターです。消えてしまった彼らの物語もいずれ書こうと思います。
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