わだしばれみえルん
あ、夢の世界だ。もしかして、レムノンが襲ってきたのかな? 誰かの夢を壊そうとしているなら、絶対に許さない。
わたしはもう、あ■ヒちゃんみたいなことにはさせないんだ!!
あサ※ちゃんの夢が襲われたのハ、わたシがまだみんなト友達ニなれていなかっタ頃。
まだ、れみえるんになれることを知ったばかりの頃だった。あ■非ちゃんの夢のところに、レムノンが現れた。
わたしは、そこで、レムノンが何をするのか「見ていた」の。巷で流行っているアニメの女の子たちみたいに、説明してくれる妖精さんがわたしにはいなかったから、訳もわからず戦っているけれど、実際、怪獣が害のあるものかどうかを確かめてなかったから。
もし、害のない怪獣を倒していたんなら、それじゃあわたしが悪者になっちゃうじゃない? だから、確認しておこうと思って。
見ていたら、ア■轡ちゃんの夢の映っている水晶玉みたいなのがね、がしゃーん、ぐしゃあって、滅茶苦茶にされて、怪獣は散らばったその欠片を……食べたの。
それでも、わたしはそれがどんな影響を及ぼすのかわからなかったし、どうしたらいいかわからなかった。だからね、目が覚めてから、堊※■ちゃんの様子を見ようと思って……
次に会った※■ヒちャ无は、心が壊れて、☆◆※血ゃんじゃなくなってた。
あ嗟非ちゃんはほんわり明るい笑顔をする女の子だった。わたしがよれよれのお洋服でも、みんなみたいに「汚■」とか言ったりしない。「今日はよく眠れた?」とか、わたしの体調を気にしてくれるのが唖サ※ちゃんだ。
物静かで、頭がよくて、ちょっぴり大人びている。わたしはそんなあ做$ちゃんが大好きで、憧れていた。
けれど、レムノンに夢を壊された△さ婢ちゃんは、にこりとも笑わない。お人形さんみたいになっていた。時々、わけのわからない叫び声をあげて、みんなをびっくりさせる。子どもなら叫び声くらいって思うかもしれないけど、ア鎖ヒちゃんの叫びは異様で、わたしは、見ていて怖かった。
「そウだオ!! 私は■■ちゃんの友達なンかじゃなイよ!!」
何を言っているのかよくわからないわたしを、あさひちゃんのお母さんは追い出した。
そのまま、蛙サ陽ちゃんは数日、狂いに狂って……死んでしまった。普通の死に方じゃないことは、わたしにもわかった。
レムノンのせいだって、すぐにわかった。レムノンに夢を壊されると、こんな風に大変な死に方をするんだって。
だからもう、あ◆ピちゃんみたいな人を出さないために、わたしはれみえるんとして、決意を新たにした。
どうして、ア゛さ緋ちゃんの夢が襲われるのを見過ごしちゃったんだろうっていう後悔は、当然あった。だって、吾※◆ちゃんはわたしのたった一人のおともだちだもの。失いたくなんてなかった。
でも、過ぎてしまったこと、失敗したことをいつまでも考えたって仕方がない。殴られた傷がすぐ消えなくても、わたしは立ち上がらなきゃならないのとおんなじ。振り向いてばかりじゃ、駄目なんだ。
あシャ否ちゃんのお母さんがうちのお母さんみたいになっちゃって、わたしは全然、ア※ピーゃんのところに行けていないんだけど。これでわたしの役目がはっきりした。
れみえるんは怪物からみんなの夢を守るために存在するんだ。夢を守ることは現実にも繋がっていて、夢が壊されると、夢の持ち主も壊れて、最終的に阿佐ぴ稚ゃんみたいに死んじゃう。それを防ぐために、れみえるんは怪物と戦う力を持っているんだ。
あPSYちゃんが死んじゃったのは、わたしのせいでもあった。だからこそ、この役目を全うしていかなければならないと思う。救えなかったあ゛ざ媚ちゃんへの、罪滅ぼし? にもならないだろうけれど。
わたしがこれ以上、誰かから恨まれないために、れみえるんとして戦い続ける必要があるんだ。
なんて、物思いに耽っていると、レムノンが現れたみたい。どしんどしん、と重たい足音がする。地鳴りみたいだ。わたしはれみえるんに変身して、魔法のステッキを構えた。
「滑稽なムスメめ。憐レナ子どもメ」
レムノンの言葉はよく聞き取れない。それは怪物で、わたしと違う生き物なのだからだと思う。夢を壊して人を壊すような化け物なんかと、対話する気なんて、元々ない。
レムノンが言葉でわたしを惑わそうとしているのなら、わたしにわからない言葉で話しているのは幸いだった。レムノンは悪者だ。悪者の言葉に耳を貸すつもりなんてこれっぽっちもないけれど、それでも情に訴えられたりしたら、わからない。だから、言葉がわからなくてよかったと思う。
「孤戀なクセに、ひトりぼっ地のクセに、どうして我々を受け入れない?」
「ルミナスシャワー!!」
何か言うレムノンに、わたしは容赦なく技を放つ。浄化の光がそこら中に散らばり、レムノンの巨体を焼いていく。レムノンは耳障りな断末魔を残して、消滅していった。
一撃なのは、当然だ。だってわたしはれみえるん。夢の中でならどんな怪獣も倒せる超絶無敵の存在なのだ。わたしにかかればレムノンなんて、あっという間に消し去れる。
「……どう……シて……」
倒したレムノンの声が微かひ響いた。声色が少し切なくはあったが、わたしは同情しない。
「あなたたちは人の夢を壊して、命を奪うでしょう? それはいけないこと、許してはならないことなの」
「でも、ワレワレは……■■のために……」
聞き取れず、わたしはむっとする。
「そんなの知らないよ」
どんな事情があっても、この怪物は人殺しだ。そんなのを、許すわけにはいかない。
どんなに現実がつらくても、れみえるんの話を他の誰も知らなくても、わたしはわたしの存在意義のために戦い続ける。
存在意義が、架空でもあるうちは、生きていようと思えるから。
だから、ごめんね、レムノン。
そうして、わたしはレムノンを浄化した。