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DIMENSIONS・ENERGY  作者: 河松星香
番外編 祝!創立70周年記念
17/28

記念Tシャツを巡って

 10時20分、私、栞菜、政、憧君はそれぞれ帰り道が違うため、私は1人で帰っている。


 西側にある正門を出ようとした時に、

「やあ、杉浦、プリントの色は何色だね?」

 と式典で口笛を吹いていた平井が私を立ち止まらせる。


 平井の近くに私の中学時代の天敵があと3人いた。


「水色だけど」


「おい!オレにくれ!ピンク色と交換しようぜ」


「何でそんな色を選んだん?馬鹿じゃない?最初から水色を頼めばそれで良かったやん!」


 私は怒りに満ち溢れる。


「そんなこと言うでない!早く彰にお前の記念Tシャツを渡さぬか!」


 藤崎(ふじさき) 鈷都音(ことね)は腕を組んで私に襲いかかろうとする体勢になる。


「じゃあ、そう言う藤崎はどうなん?私に言う前に藤崎が平井に渡せば、それで良かったやろ?」


「いいや、何もわかっていないんだね。これはオイラたちおそろいのピンク。だから、交換したって一緒なんだぜ」


 高市(たかいち) 柚記(ゆうき)は両手を腰に当てる。


「ははあ、そう言うことか。つまり、オソロってわけか」


 私はニヤニヤする。


「そうだ、あらかじめ決めていた。何が悪い!?」


 平井は抵抗する。


「せっかくオソロにしたのに水色が良い、って仲間を裏切るつもり?しかも、普通は男女関係無く着れる黄緑や黄色を選ぶやろ」


 私は呆れた顔で平井を見る。


「じゃあ、誰がピンクが良いって言ったんよ!」


 黒川(くろかわ) 玲衣(れい)は平井をガン見する。



 ――Tシャツの文字色を決めた10月10日――


「ちょっと、記念Tシャツの文字色何にする?」


 黒川は2年6組の黒板の向かい側にある掲示板に近づいた。


「そうだなあ。あたしは水色が良いかな」


 藤崎は水色の文字色に見とれる。


「オイラは黄色やな。黒川は?」


 高市は腕を組む。


「アタイは黄緑派」


 黒川は高市の方を向く。


「じゃあ、彰は何色が良いねんやろうな」


 藤崎はボソッと呟く。


 そんな時に平井が黒川の隣に来て、

「オレはピンクが良い!」

 といかにも確定したかのように言い切る。


「ピンク?似合ってねぇなあ。他の無難な色にした方がお前にとって良いと思うけどな」


 高市は平井の断言に呆れる。


「何だと、オレの意見を否定するとでも言うのか?」


「否定はしないけど、アンタにとって気に入る色が良いと思うで」


 藤崎は掲示板にもたれる。


「だから、オレはマジでピンクがええねん!」


 平井は藤崎に反発する。


「いつか後悔するときが来ると思うけどな」


 黒川は冷静に言う。


「もう、みんな否定するやん。もういい、お前ら、全員ピンクな!」


 平井は3人を指す。


「何でオイラがピンク着ないとあかんねん。意味不明やし!」


 高市は平井にブチ切れする。


「良いか、オレの命令に背いたヤツは、わざと停学扱いになる悪さをさせるぞ!」


 藤崎と高市、黒川は平井の発言に恐れてしまった。


 と言うことで、平井たちはオソロのピンクになったのだ。



 そんなやり取りを思い出した平井は

「オレだけど……」

 と額から冷や汗が流れる。


「馬鹿!今さら水色が良いとかどう言うことよ⁉︎彰がピンクが良いと言って仕方なく賛成したのに何なん?」


 藤崎の怒りが爆発した。


「いや、気が変わった……」


「貴様は最低だ!最初から違う色にすれば良かったし!」


 高市は平井の学ランを乱暴に掴んで前後に揺さぶる。


 はあ、結局は裏切りでもめるのか、と思いながら私はこの場を去った。


 でも、私の記念Tシャツを取られなくて済んだと思うと、私は安心感に満たされて家へと向かった。



 帰り道、私の去年の大親友の小林 真依と合流した。


「水莱、あいつらに襲われなかった?」


「いや、大丈夫。私がはっきりと思ったことを言ったから」


「なら、安心した」


 私と真依は笑いながら駅へと向かった。

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