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54.処罰

セシリアは常に僕に媚薬を飲ませる機会を伺っていたのだと思う。

今回は彼女にとって、またとないチャンスだったのだろう。


事前に今日の出席者の情報を知っていた彼女は、アーネストしかいないかもしれない生徒会長室に淡い期待を込めてやってきたら、希望通り僕がいた。

三人しかいないこの状況は、彼女がずっと描いていた計画にはもってこいだったようだ。


でも、相手が僕だ。


素人の彼女がカップに薬を入れるところを見逃すはずがない。

と言うか、浮ついて気もそぞろだったようで、正直バレバレだった。

アーネストと僕の薬が同じものか違うものかまでは分からなかったが、恐らく、僕への薬の方が危険だろうと判断し、アーネストがこちらに来る前にカップを変えたのだ。


もちろん僕は飲むフリしかしない。

だんだんアーネストの息が荒くなっていくのが分かり、すぐに媚薬だと気が付いた。

二人に媚薬を盛るのは考えにくい。なので、僕は寝たフリをした。


それがビンゴ。睡眠薬だったわけだ。


まあ、カップを変えなかったとしても僕は紅茶に口を付けないわけだから、彼女を襲うことは無い。

眠りこけたアーネストを前にどう説明するか彼女を問い詰めるだけだ。

そっちの方が、彼女は怖い思いをしなかったかもね。

でもこれは彼女が自分で蒔いた種。当然の報いだ。


それにしても、公爵令息(この僕)に薬を盛るとはね・・・。

さあて、どうやって落とし前をつけようか。


ああっ! それよりも、クラウディアを待たせているんだった! 早く片付けないと!





翌日、セシリアは体調不良という事で学院には来なかった。

その翌日も登校しなかった。


そして、そのままこのクラウン王立学院から姿を消した。


僕はアーネストの名誉も考え、この事件を学院内に公にすることはしなかった。

媚薬を飲まされた被害者ではあるが、女子生徒に襲い掛かったのは事実。

まあ、薬を簡単に盛られるという事自体も情けないし、どちらも不名誉だ。


とは言っても、この事件をもみ消すことなどするわけがない。

さっさと学院に報告。学院の上層部でも重大な事件として扱われた。


僕が何をするわけでもなく、セシリアは退学に追い込まれた。


そして、何よりもこの事件に激怒したのは、アーネストの父親であるロンド伯爵だ。


彼はセシリアのことを、自分の息子を誑かした不埒で大悪女だとしてロワール男爵家に猛抗議をした。


結果どうなったか。


セシリアは母親と共に元居た街で静かに暮らしているという。

そうだろうね。ロワール男爵家は男爵家としてはそこそこ上位で裕福だが、権力で伯爵家に敵う筈がない。

慰謝料も相当もぎ取られ、折角、正妻を宥めてセシリアを跡取りに迎えたのに、廃嫡せざる負えない状況に追いつめられた。

呆れ返った正妻には離婚を迫られ、男爵家では大変な嵐が吹き荒れているそうだ。


「結局、カイル様は何もすることもなく終わりましたね」


二人きりの生徒会室でアンドレがモグモグとクッキーを食べながら僕に話しかけた。

ちょっと、それ、クラウディアが僕に焼いてくれたクッキーなんだけど。なに勝手に食べてるの?


「何もしてないなんて事は無いでしょ、実際に被害に遭いかけたし。この貴重な身体を張ったよ?」


「それはそうですね。ご苦労様でした」


「本来、僕のカップにも睡眠薬を入れたことは事実だから、我が家からも抗議して当然だけどね。飲まずに無事だったことも事実。ここは目を瞑ってあげる。なんて寛大なんだろう! 我がランドルフ家は!」


「・・・という、ついでの筋書きにも実に良く出来ています。世間の好感度アップも間違いなしですね」


アンドレはモグモグしながら呟く。


「実際、ロンド伯爵家の沙汰だけでロワール男爵家は潰れそうだしね。ここで公爵家も口を出したら塵と消える。まあ、細々と生き延びてもらって、頃合いを見て手を差し伸べるよ」


「ランドルフ公爵家の犬がまた増えますね・・・」


「その言い方、気に入らないなあ~」


僕はワザと口を尖らせて見せた。

しかし、心は穏やかだ。これでやっとクラウディアも平穏に学院生活が送れる。


彼女を害そうとする者を排除できたのだ。もう安心だ。

これからは僕らのラブラブな学院生活を益々満喫することにしよう!

そして、卒業後は即結婚。

この先は順風満帆だ。


ちょっと、アンドレ。僕のクッキー食べ過ぎだよ!


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