表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/74

37.念には念を

「消しちゃおうかなって・・・。貴方が言うと洒落にならないですから」


アンドレは呆れたように僕を見た。


「無駄なお家取り潰しは止めてくださいよ? カイル様」


「分かってるよ~。だから今、ロワール家に荒がないか探してる最中なんだよね~」


僕は伸びをした両手を頭の後ろで組んで天井を見上げた。


「でもさ~、今のところ、何も後ろ暗いことが無いんだ。小さな領地だけど、なかなか栄えていて領民との仲も良好だし。かと言って、荒稼ぎして税を誤魔化している様子も無い」


僕ははぁ~と溜息をついた。


「男爵本人の人柄も調べたよ。妾がいるくらいだから女癖が悪い奴なのかと思えば、それがそうでもない」


女にだらしない輩は問題児が多いからね。そこも確認してみたのだけれど。


「それどころか、セシリアの母親が本命。本来ならその人と結婚するはずのところを引き裂かれたらしい。それでも別れずに後生大事に市井で囲っていたわけだ。出来る限り不自由させないように大切にね」


「一途で情に厚い方のようですね」


「まあ、褒められることかどうかは別として、悪人ではないことは確かだよね」


「つまり、叩いても塵は出てこないと?」


「うん。今のところは・・・ね」


「・・・先ほども言いましたが、無意味なお家取り潰しは止めてくださいよ? カイル様」


・・・。

だよね、やっぱり。


「まあ、次にクラウディアに何か言いがかりをつけてくるようであれば、我が家から男爵家宛に抗議文でも出すよ」


「それだけでも十分でしょう。公爵家から抗議文など一大事でしょうから」


「後は学院の行事を見直そう・・・」


「学院の行事をですか?」


アンドレはちょっと驚いたように目を丸めた。


「まあ、ちょっとね・・・」


クラウディアから得た貴重な情報。

僕が起こすであろう愚行が数々待ち受けている魔の行事(イベント)

現実の僕は絶対にそんな愚劣な行為はしないけど。


「念には念を・・・ってとこかな・・・」


小さく呟くように言う僕に、アンドレは軽く溜息を付いた。


「そうですか・・・。まあ、行事を見直すのも結構ですが、それよりも、彼女に生徒会副メンバーから追い出す方法を考えましょう」


ああ、確かにそうだね。





花園での出来事から、セシリアは生徒会室に顔を出さなくなった。

この事に焦っているのは生徒会長唯一人。

それ以外の人物は、返って清々しく仕事をしている。


「驚きましたね。彼女にも羞恥心があったということでしょうか?」


アンドレが拍子抜けしたように僕に話しかけてきた。


「いや、どうだろうね」


「・・・違うのですか?」


怪訝な顔のアンドレに対し、僕は呆れたように肩を窄めて見せた。


なぜなら、彼女は戦法を変えただけだからだ。


僕に話しかけることは無くなったが、視界に入り込むことは前よりも多くなった。

視界に入り込むが、顔を合わせない。

目が合えば、ワザとらしくそっぽを向いたり、信者である男子生徒―――数は減ったけど―――とこれ見よがしに仲良くしたりする姿を僕に見せつける。


もちろん僕はすべてスルーしているのだが、彼女はそれが気に入らないらしい。

諦めることなく、必死にアピールしてくるのが目にうるさくて仕方がない。


「押してダメなら引いてみろってことですか・・・」


アンドレも完全に呆れ顔だ。


もうね、僕の心の扉はガッチリと鍵を掛けてしまっているから、君が押しても引いても開かないんだけどね、セシリア嬢。


「まったく・・・。僕にダイレクトにアタックしてくるわけでもないから、迷惑行為だと苦情を言う事もできない」


「そうですね。今の時点で苦情を言ったら、それこそ『自信過剰の痛い男』になってしまいますね」


アンドレは顎に手を当てて呟いた。


「まあ、あれからクラウディアに対して何かを仕掛けてくることもないし、変な噂を流す様な真似もしていないからいいけど」


しかし、彼女が僕を諦めていないことは確かなので、今は無視を決め込んで、魔のイベントに備えることにしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ