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35.忠告

僕はディアを抱えたまま、ヒロインに向き合った。


「セシリア・ロワール嬢。さっき君が言った『クラウディアが友人を使って君を虐めている』という発言は取消してもらいたい。ディアはそんなことはしていないし、現に友人のご令嬢お二人は違うと言っているのだから。ねえ、そうでしょう? エリス嬢にマリア嬢」


僕はディアの友人に振り向いた。


「ええ! そうです!」

「もちろんですわ!」


彼女たちは大きく頷く。


「それに、彼女たちが言っていることは至極真っ当なことだよね。全く虐めには該当しないと思う。僕だって、自分の恋人にベタベタ触れてくるような男がいたら不快に思うし、止めるように忠告するね。それを虐めと捉えられるのはそれこそ不愉快だ」


忠告で終わらないでしょうね・・・と言う言葉がアンドレから聞こえたが無視。


「・・・でも」


「執拗にディアのせいにしようとするのはどうして?」


セシリアの言葉を遮って僕は質問をぶつけた。

彼女はぐっと言葉に詰まらせた。


「ねえ、ロワール嬢。僕からも忠告しておくよ」


僕は目を細めて彼女を見据えた。


「クラウディアは僕の恋人だ。自分の恋人を侮辱されることは僕を侮辱していること同じこと。そしてさらに、彼女は恋人なだけではなく婚約者だ、家同士が認めている正式なね。言っていることは分かるかな?」


彼女は何かを言いたそうだったが、僕は発言を許さなかった。


「未来のランドルフ公爵夫人を侮辱するということが、どういう意味を持つか・・・」


僕の怒気を含んだ声にやっと気が付いたのか、セシリアはさっきような怒りからの震えではなく、恐怖でカタカタと震え始めた。


「これ以上の行為はクラウディアではなく、我がランドルフ家を侮辱することになると思ってくれたまえ。正直、我が家を敵に回さない方がいいと、僕は思うけどね」


「そこは激しく同意します。カイル様」


もう終わりにしろとばかりにアンドレが割って入ってきた。


「私も我が婚約者が謂れのない中傷被害に遭ったら、ブラウン家の問題として対処しますね」


そう言うと、セシリアを一瞥した。


「貴女は少々思い込みが激しいタイプのようだ。噴水事件の時も自分で落ちておきながら、他人に突き落とされたと喚いてみたり、今回も忠告を虐めと決めつけたり。貴女の軽はずみな言動が、一人の生徒の名誉と尊厳を著しく傷つけているという事を理解すべきです」


セシリアは震えながらも、アンドレを睨み返した。

だが、アンドレはそんな彼女に軽く溜息を付くと、


「そして君たちも」


ポカンと様子を傍観していたセシリアの取巻き達に向かって声を掛けた。


「友人を思いやるのは結構だが、人をなじる言動に何の疑いもなく同調するのは問題なのでは? そうした軽い行動から誹謗中傷の噂はすぐに広がってしまう。後から誤った内容だと分かったとしても、その時にはもう遅い。そうした悲劇に加担する危険な行為だ。我が学院の紳士として恥じないよう、軽率な行動は慎んでもらいたい」


アンドレの厳しい言葉に、取巻き達はシュンと項垂れた。


「さあ、カイル様、クラウディア嬢、行きましょう」


アンドレは終了終了!とばかりにその場の撤収に入った。

両手を広げ、僕らにその場から立ち去るように誘導する。僕は素直に従い、踵を返して歩き出した。


「ま、待って! 待ってください! カイル様!」


背後でセシリアの叫び声が響いた。

チッと舌打ちをして、足を止めて振り向いた。アンドレが気を使って、僕の前に立ちふさがってくれた。


「カイル様! 聞いてください! 私、私・・・!」


アンドレを押しのけて僕に近寄ろうとするが、アンドレはそれを許さない。

彼の肩越しにセシリアはとうとう叫んだ。


「私はカイル様の運命の人よ! あなたは私と結ばれるはずなの! 彼女じゃないわ! 私なのよ! 私がヒロインなのよー!!」


あーあ、言っちゃったよ、自分で。


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