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26.生徒会新メンバー

ある日、僕は生徒会室に入った途端、ここ最近では一番大きな溜息をついた。

部屋の一番奥の会長席の前にピンクブロンドの髪の女子生徒が立っていたからだ。


「カイル様!」


振り向いたピンクブロンドはパアと満面の笑みを僕に向ける。僕はげんなりした。


「ごきげんよう! カイル様」


彼女はパタパタと小走りで僕の傍までやってきた。


「やあ、セシリア嬢」


とりあえず、軽く返事をしてから会長を睨みつけた。彼はスッと目を逸らした。


「私、今日から生徒会のメンバーに加わりました!」


彼女は嬉しそうに微笑んだ。


この学院は古くからのしきたりで生徒会の正式メンバーは上位貴族出身で、且つ成績優秀者の中から教員の推薦で決まる。男爵令嬢である彼女が正式メンバーに名を連ねることはないのだ。

ただし、応援員として生徒会が生徒を募集することは許されている。


「彼女たちは優秀だから、私が応援スタッフとしてスカウトしたんだ」


生徒会長がコホンと咳払いして、チラリと僕を見た。


彼女たち・・・。

生徒会長の席の前には他にも二人の男子生徒がいる。


「よろしくお願いします! カイル様!」


セシリアは可愛らしく首を傾げて僕に挨拶をした。それに同調するように、二人の男子生徒も僕に頭を下げる。彼らも僕らと同じ一年生だ。


「こちらこそ」


僕は三人ににっこりと微笑んで見せた。


「では、繁忙期など忙しい時だけ(・・)はお手伝いをお願いするよ。大変だと思うけど、宜しくね」


「はいっ! 頑張ります! では今日から早速お手伝いします!」


人の話聞かないな、相変わらず・・・。


「今は繁忙期じゃないから大丈夫だよ。今日はもう帰ってくれていいよ。明日もう一度来てくれるかな? 生徒会正式(・・)メンバーに紹介しないとね」


あくまでも君たちは正式ではないという事を念を押す。だが、通じているかどうか・・・。


僕は生徒会室の扉を開けると、彼ら三人に微笑んだ。


「え? でも、会長は今日から仕事があるって・・・」


「そうだな。明日もこの時間に来てくれたまえ。全員でお待ちしているよ。今日はご苦労様」


ピンクブロンドの言葉を遮り、会長席の傍にいる二人の男子生徒に目を向ける。

彼らは慌てるように僕の方に駆け寄ると、軽く一礼して部屋から出て行った。


「じゃあ、セシリア嬢。また明日」


そう言われて、セシリアは会長と僕を交互に見つめ、ちょっと納得いかないようだが、二人に続いた。

三人が出て行った後、僕はすぐに扉を閉めた。バタンッ!と大きな音を立ててしまったのは、つい力がこもっちゃったからかな。


ゆっくりと会長に振り向いた。


「な、なんだ? カイル君! 私が呼び出したばかりなのに、勝手に帰すなんて! 今の態度だって彼女に失礼じゃないか!」


僕は無言で会長席に近づいた。


「な、なんだ!? 僕のやる事に文句あるのか?」


当たり前でしょ! もう有り有りだっての!


会長は頑張って虚勢を張っているけれど、手が震えているのが分かる。


「今回の三人の選定は会長独自のご判断で?」


「あ、ああ! セシリアはとても優秀だし、いい子だ。だから是非手伝った欲しいと思って!」


「セシリアは? 後の二人は?」


「え、あ、ああ! もちろん彼らだって!」


「どこで優秀と判断を? 学期中のテストなどまだ終えていないので彼らの成績は分かりかねますが・・・。入学前の成績は教員しか知らないはずですし、何より会長と彼らは学年も違うので、成績だけでなく学習態度なども簡単に知り得ないと思いますが」


「そ、それは・・・」


「もちろん、我が学院全生徒が勤勉で真面目であることは承知しておりますよ?」


「そうだ! そうだろう? だから・・」


「とはいえ、独自でお決めになるのはどうかと」


「彼女が優秀で真面目でいい子だという事は、話しただけ十分わかる! 生徒会にとって絶対にプラスになると判断した! 会長権限で決めて何が悪いんだ?」


会長は逆切れして大声を上げた。

やっぱり、セシリアにほだされた一人か。彼女に頼まれて断れなかったんだろうね。残りの二人はついでだ。自分の彼女に対する下心がバレないようにカモフラージュなのだろう。

バレバレだけどね。


「悪いですよ、会長。応援スタッフは生徒会全体をフォローしてもらう重要な存在です。その人物はメンバー全員に先ご報告頂かないと。どのような人物でどのように活躍してくれそうか。我々にも意見を言える機会が有るべきかと」


「・・・っ!」


「公募してその中から人選させて頂きたかったですね。メンバー全員で」


「だが・・・!」


「会長個人の為だけのフォロー要員なら話は別ですが・・・」


僕はちょっと意地悪い顔をして彼を見た。

彼は顔を赤くしてフイっとそっぽを向いた。


まったく、しょうがない奴だ。

ホント、もう降ろそうかな、こいつ・・・。


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