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16.可愛いからつい・・・。

「あの、カイル様・・・?」


朝、学院に向かっている馬車の中で、書類を眺めている僕に、クラウディアがおずおずと声を掛けた。


「何? ディア」


さっきからソワソワして、何かを聞きたそうにウズウズしていうるようだったけど面白いから黙ってたんだよね。まあ、聞きたい内容も分かってたし。


「えっと・・・、その・・・、そのですね・・・」


「うん? 何?」


「あの・・・、ヒ、ヒロ・・・。お、お友達はもう沢山出来まして!?」


「そうだなぁ、新しい友達はあんまりできないかなぁ。結局、もともと知っている令息とばかり話してしまうね。僕らは学院生だけど王宮の仕事も兼ねているから、ついね」


「そ、そうでしたわね。お忙しいですものね、カイル様たち。特にアンドレ様。アイリーン様が心配してらしたもの。ちゃんと寝ているかしらって」


「彼は真面目だからね。寝てないかも」


「嘘!?」


「あはは、大丈夫だよ。2、3時間は寝てるんじゃないかな?」


「そ、そんな・・・、過労で倒れてしてしまいますわ。この世界に労災ってあるのかしら・・・?  労働基準法って・・・」


ロウサイ?

また不思議な言葉が出たね。


「それよりディアはどう? アイリーン嬢以外にも友達は出来た? クラスの令嬢とは仲良くしているようだけど」


「はい! 仲良くしてますわ! 皆さん良い人ですのよ!」


クラウディアは嬉しそうににっこりと笑った。


「そうか。良かったね。僕も安心したよ」


「はい!!」


僕もにっこり頷いて書類に目を戻す。


「・・・」

「・・・」

「・・・」


「あ、あ、あの・・・。カイル様・・・」


ごめん。ディア・・・。ちょっと吹き出しそう・・・。

意地悪してごめんね。聞きたいことは分かっているんだけど・・・。


「何だい? ディア」


「ヒ、ヒ、ヒロ・・・ヒロイ・・・」


「ん?」


「ヒ、ヒ・・・、ヒック! ヒ・・・ック!」


ああっ、緊張からシャックリし始めちゃった!

ごめん、クラウディア。やり過ぎちゃった。


「大丈夫かい? ディア」


僕は前に座っている彼女をヒョイと持ち上げると、自分の膝の上に抱き寄せた。


「っ!!」


僕の膝の上で、クラウディアは口元を両手で押さえ、目をまん丸にして僕を見ている。顔は茹でダコのように真っ赤だ。


「突然シャックリしてどうしたの? 落ち着いて」


僕はシレっとそう言うと、彼女の背中を軽く叩いた。


「・・・止まりましたわ・・・」


驚くと止まるらしいからね、シャックリは。びっくりし過ぎたかな。


「それは良かった」


「・・・あの、向かいの座席に戻りますわ・・・」


「何で? ここでもいいんじゃない?」


「いえ・・・、あの・・・、だって、重いでしょう? カイル様が」


「ううん。全然重くないけど。だって、ディアは小さいし」


「でも、太ってますわ!」


「ディアは自分が言うほど丸くないよ? 誰がそんなこと言ってるの?」


「・・・誰からも言われてませんけど・・・。でもそれは皆さんお優しいからで・・・」


確かに痩せているとは言わない。だけど、本当に太ってなんていないのに。

丸みのある顔だから、そう見えるだけなんだ。

それに、彼女は背が低いから、痩せてしまったらそれこそ子ども見たくなってしまう。


「だって、誰だって面と向かってデブとは言い辛いでしょう・・・。もし、言う人がいたらそれはそれでどうかと思いますけれども・・・」


彼女は俯きながらゴニョゴニョ呟いた。

そんな彼女の耳に僕はそっと口を寄せた。


「本当にディアは重くないよ。太ってなんていない」


そう小さく囁くと、彼女は肩を大きく振るわせた。


「な、な、な! 何を・・・おっしゃって?!」


彼女は大慌てで僕から顔を離すと、僕が囁いた耳を押さえた。

顔は湯気が出そうなほど赤い。


「も、も、もう! ご冗談は止めてくださいっ!」


「冗談だなんて。僕が嘘を言ってるっていうの?」


「そ、そういう訳じゃなくって!」


彼女はもう耐えられないとばかりに両手で顔を覆った。


「いいから降ろしてください! もう、無理っ!」


「嫌だよ。だって、このままじゃ僕が嘘を言っているみたいじゃないか」


「だからなんでそうなるんですか~!」


「ディアは太ってないし重くないから、僕はこのままでも全然平気だよ」


「私が無理です~~~!」


「信じてくれないなら、そうだな~。なんなら、教室まで抱き抱えて行こうかな?」


「分かりましたわ! 信じますからっ! 私は重くありませんし、太ってもいませんわ!」


「あはは、分かったらならいいかな。解放してあげる」


僕は彼女の頭を優しく撫でた後、ヒョイと持ち上げ、前の席に戻した。

彼女は真っ赤になった頬を押さえて、ちょっと恨めしそうに僕を睨んでいる。


「もう! カイル様の意地悪!」


ごめん、ごめん。君の反応が可愛くてついね。


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