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エセ賢者と魔導書ゴーストライター  作者: 結城 からく


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第78話 進む道は正しいか

 騎士団長の生首から得た情報をエイダとルナに伝える。

 エイダは苦笑気味にため息を洩らした。


「まあ、そんなことだろうとは思っていたよ。彼が野心家であるのは知っていたからね。目的のためならば手段を選ばない男だ」


「……お前も似たようなものだ」


「そうかい? 私はお行儀よくやっているつもりなのだがね」


 笑うエイダは、本気か冗談か分からない口調でとぼけてみせる。

 手段を選ばないという点において、彼女と騎士団長には大差はないだろう。

 どちらも決して善良とは言い難い人間だ。

 ましてや"お行儀よい"はずもない。


 その間にルナが上から飛び降りてきた。

 彼女は聖なる光を帯びた刃を見せながら報告する。


「結界を壊して出口を作ったよー」


「さすがルナだ。仕事が速いね」


「えへへ、ありがとう」


 ルナは照れ臭そうにしている。

 長い時間をかけて構築された堅牢な結界を破壊するのは容易ではない。

 それを一瞬で実行できたのは、ひとえにルナの実力によるものが大きかった。

 高い技能を有しているからこそ、最低限の攻撃で突破できたのだ。


 その後、我々はルナの作った結界の穴から外へと脱出した。

 城内の廊下を歩く中、エイダは不敵な笑みを湛える。


「あとは国王だけだ。私達を阻む者はいない。仮にいたとしても、ルナとヴィブルなら対処可能だろう」


「結局は他人任せか」


「もちろん私だって働くとも。華麗なる賢者のやり方でね」


 そう言って片目を閉じたエイダは、他の階に響くほどの大声を発する。

 内容は挑発と脅迫の混ざった宣告だった。


「諸君、我々は王国騎士団長を倒した! もう誰にも止めることはできない! 嘘だと思うなら挑んでくるがいいっ! 無謀な君を肉塊にするのに大した手間はかからないからね」


 行く手を阻もうとした兵士が止まり、互いに顔を見合わせて引いていく。

 包囲できるはずの場面でも、彼らは率先して動こうとしない。

 エイダの言葉が効いている証拠だ。

 作戦通りに進んでいる一方、気になることがあったのでエイダに確認しておく。


「ますます悪名が広がっているが」


「今更だろう。もはや誤差の範囲だよ。こうなったら開き直っていくべきさ。結果として被害を最小限に抑えられる」


 エイダはこの局面でも他者のことを考えている。

 過剰な知識欲が芽生えながらも、まだ人間的な思考が大部分を占めていた。


 なんとも歪だが、それでいい。

 蔵書狂など一人で十分だ。

 同じ轍を踏まないように注意するのも己の役目であろう。

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