表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エセ賢者と魔導書ゴーストライター  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/115

第71話 空回りする賢者

 城へと続く道をひたすら進んでいく。

 途中、隊列を組んだ兵士達が待ち構えていた。

 王国の騎士団だ。

 報せを受けて集合していたのだろう。


 我々をここまで案内してきた兵士達が下がった。

 来た道にも別の部隊がおり、しっかりと退路を塞がれている。

 俯瞰すると前後から騎士団に挟まれた形となっていた。


 エイダは手を打つと、晴れやかな面持ちで発言する。


「ふむ、豪勢だね。そんなに私のことが気になるのか」


 もっともらしい仕草と雰囲気だ。

 自らの実力を誇張し、偽りの賢者としての評判を利用するつもりらしい。


 所詮は虚勢に過ぎないのだが、エイダの場合はともすれば本物以上に仕上げてくる。

 事前情報がなければ、確かに優れた賢者と言われても納得するだろう。

 ましてや兵士達には判断の付けようがない。

 彼女の演技は完璧に近かった。


 案の定、騎士団は我々に対して畏怖を抱いている。

 少なからず動揺する彼らは、張り詰めた空気を醸し出していた。

 エイダの意図する流れに呑まれているのは明白である。


 彼らは王国の表の戦力だ。

 当然ながら人間ばかりで、黒衣の集団のように魔人が混ざっているということはない。

 この場にいるのは数百人規模だが、数の優位など気休めにもならない。

 総合的な力は魔爪の導示には及ばないだろう。


 緊迫感が継続する中、そばで狂気が膨れ上がる。

 短剣を回すその人物――ルナに先んじて忠告しておく。


「挑発されても手を出すな。厄介なことになる」


「わかってるよ。エイダちゃんの邪魔はしないから」


 ルナはそう答えるがどうにも怪しい。

 状況次第では躊躇なく殺戮に動くだろう。

 そうなった時、騎士団の壊滅は必至である。

 なるべく避けるべき事態で、おそらくエイダも同じ考えだった。

 今この瞬間に最も危険なのは、勇者の末裔の殺人鬼なのだ。


 迂闊な発言すら許されない場において、エイダは能天気に挨拶をする。


「やあ、こんにちは。今日は良い天気だね……って、あまり殺気立たないでくれ。私は小心者なんだ」


 おどけるエイダは騎士団を宥めようとする。

 しかしそれは逆効果だった。

 緊張とは無縁の言動を取るエイダは、当事者でありながら浮いている。


 エイダは不思議そうに騎士団の面々を見回すと、少し困った様子でこちらに話しかけてきた。


「真面目すぎるのも考えものだよ」


「余計なことを言うな。台無しにしたいのか」


「大丈夫、これも作戦の内だ」


 エイダは片目を閉じて微笑する。

 その反応で不安になってしまうのは仕方のないことであろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ