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エセ賢者と魔導書ゴーストライター  作者: 結城 からく


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第54話 欲望の発露

 どういう事態か正確には不明だが、エイダは闇の賢者という扱いになっているらしい。

 詐欺師ではあるものの、そのように呼ばれる振る舞いはしていないはずだ。

 何者かが嘘の情報を周知させているのだろう。

 自然に考えるなら、魔爪の導示の頭領である国王の仕業と思われる。

 魔人という手駒を失ったことで、新たな策略を図ったに違いない。

 立場の利用においては、賢者エイダよりも遥かに上である。


 街を出て接近してくる不揃いの装備の集団からは、明確な殺意が窺える。

 同時に欲望に塗れた表情を浮かべていた。

 記憶を奪うまでもなく分かる。

 彼らは冒険者――その中でも賞金稼ぎを専門とする人間だ。


(おそらくエイダの首には金が懸かっている。集団戦で圧倒して勝つのが目的なのだろう)


 賞金稼ぎ達は、多数の魔術と矢を放つ。

 遠距離の間合いから牽制し、一気に間合いを詰めるつもりのようだ。


 様々な属性の術が降り注ぐ中、ルナが短剣で防御を試みる。

 その動きに一切の狂いはなかった。

 彼女の斬撃が背後に屈むエイダを的確に守っている。

 殺人鬼の技能も、用途次第では最高の護衛となるようである。


 大雑把な狙いの魔術は付近一帯を破壊していく。

 当然、羊皮紙の身体にも命中しているが、気にせず賞金稼ぎ達の観察に勤しむ。

 今は何よりも情報が欲しかった。


 視認できる範囲だと、賞金稼ぎ達は平均的な実力だった。

 特殊な能力を持つ者はおらず、良くて中堅どころといったところか。

 詳しい状況も考えず、我先にと飛び出してきた人間なのだ。

 大した実力が無いのは納得であった。


 戦力的にはこちらが有利だ。

 ルナだけで皆殺しにするのは容易で、彼らが近付くほどその傾向が強まる。

 勇者の末裔を凌駕する者はまずいないだろう。


(それにしても無謀すぎる奴らだ)


 賞金稼ぎ達は、賢者エイダの名声はよく知っているはずだ。

 いくら大勢でも敵うと思っているのか。

 賞金に目が眩んで正常な判断ができなかったのかもしれないが、あまりにも短絡的すぎる。


 防戦が続く一方、エイダが壺型の魔道具を起動させた。

 四方を囲う結界が発生し、飛んでくる魔術を遮る。

 術式からして強度は並程度だが、ある程度の時間稼ぎにはなるだろう。


 遠距離攻撃が通じないと分かり、賞金稼ぎ達は雪崩れるように接近してきた。

 全員で結界を包囲すると、各々の武器で破壊を試み始める。

 人数に任せて叩き割るつもりらしい。


 立ち上がったエイダは賞金稼ぎ達に訴えかける。


「やめてくれ! 私は何の悪事も働いていない! すべて誤解なんだっ!」


 彼女の声を聞く者はいない。

 誰もが結界の破壊に必死で、エイダの主張など戯れ言だと考えている。

 唯一の武器とも言える話術は、無効化されたに等しかった。

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