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エセ賢者と魔導書ゴーストライター  作者: 結城 からく


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第51話 黒幕の正体

 記憶への干渉を開始すると、魔人が白目を剥いて絶叫した。

 四肢を振り乱して暴れ出す。


「ゴアアアアアアァァァァァッ!」


 苦悶は一瞬だった。

 意識は速やかに消滅し、そこに残されたのは辛うじて生きている肉体のみだった。

 魔人は全身から青い血を噴き出して倒れている。

 半端に再生機能が働いているせいで、破壊と再生を繰り返しているようだ。

 何にしても意識が復帰することはないだろう。


 羊皮紙の身体を修復し、自由になったエイダとルナのもとへと戻って報告する。


「処理が終わった。再生力が尽きれば息絶えるだろう」


「惨いな。なんというか……一方的すぎて茶番に思えてくるね」


「存在の規格が異なるのだから当然だ。魔人にとっては災難だったが」


 痙攣する魔人を一瞥する。

 もはや立ち上がることすら叶わない。

 狡猾で高い能力を備えていたが、狙った相手が悪かった。


 真っ向勝負ならば大抵の存在に打ち倒せるほどの実力者だったろう。

 常識の範疇で考えると最強格と評してもいいほどだ。

 強みを活かせずにこのような末路を辿る羽目になった点は不運と言える。


 駆け寄ってきたルナが不意に頭を下げてきた。

 彼女は感謝を伝えてくる。


「守ってくれてありがとう」


「そういう契約になっているだけだ」


「その割には瀬戸際まで助けてくれないがね。おかげで毎回死にかけているよ」


「さらに努力をしろ。お前には特異な才がある」


「買い被りだよ、それは……」


 エイダがぼやく。

 別に大げさな評価ではない。

 助力を得ながらも、彼女は絶体絶命の危機を上手く乗り越えてきた。

 非力であるにも関わらず、決死の覚悟と機転で勝利を掴んでいる。


 もはや偶然ではない。

 エイダには極限状態を生存する才能がある。


 そんなエイダは、照れ臭そうに話題を転換した。


「魔人から記憶を奪ったんだろう? 何か判明したかな」


「あの男は魔爪の導示の最高幹部らしい。おかげで大体の事態は分かった」


 動かなくなった魔人を指差して述べる。

 それから単刀直入に事実を告げた。


「真の敵はこの国の王だ」


 エイダの顔が固まる。

 彼女は幾分かの間を置いてから苦笑した。


「えっと……それはどういうことかな」


「国王こそが魔爪の導示の頭領だ。だからあらゆる情報が漏洩し、お前は窮地に追いやられている」


 エイダに歩み寄り、彼女を真正面から見下ろす。

 間近で彼女の顔を見つめながら問いかけた。


「心当たりはないか。なぜ魔爪の導示は的確な襲撃や先回りができる。お前の別荘の場所を知る人物は少ないはずだ。内通者がいると考えるのが自然ではないか」


「…………」


「魔人の持つ記憶は紛れもない真実だ。改竄や隠蔽の形跡も見られない」


 エイダは何も答えなかった。

 表情からして何かを察したようだ。

 彼女は愚かだが、馬鹿ではないことは知っている。

 むしろ頭の回転は速い。

 国王が敵であることを裏付ける記憶に思い至ったようだ。


「魔族信奉の国王にとって、賢者エイダは疎ましかったのだろう。表向きは英雄として称えつつも、裏では排除を企んでいたというわけだ」


「なるほど、ね。好かれている気はしなかったけど、まさか命まで狙われているとは思わなかったよ。ちょっと文句を言いに行かないといけないな」


「あたしも手伝うよ!」


 ルナが短剣を持って挙手する。

 彼女の目は爛々と輝いており、殺意と狂気を主張していた。


 彼女が国王の殺害を躊躇することはないだろう。

 実に頼もしい表明である。

 一方でエイダの表情は何か別のことを考えていた。

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