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エセ賢者と魔導書ゴーストライター  作者: 結城 からく


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第42話 暗中模索

 闇に覆われた坑道を進む。

 半ば手探り状態だったエイダだが、思い出したように懐を探った。


「そろそろいいかな」


 エイダが取り出したのは片眼鏡だった。

 それを装着した彼女は、周囲を見渡して満足そうに頷く。


「何だそれは」


「暗視と魔力視認の道具だよ。周囲の暗闇を吸収して機能するのが特徴だね。使えるまでに時間がかかるけど、魔力の補充が不要なのが利点かな」


「あの別荘で見つけたのか」


「その通り。大半の装備は魔人に壊されていたけど、こういうちょっとした物が無事だったのは幸運だね。保護の魔術を施しておいた甲斐があった」


 エイダは説明しながら歩く。

 装着前は凹凸の激しい地面で躓きがちだったが、今はそのようなこともない。

 足元の状態がしっかりと見えている証拠である。

 片眼鏡の位置を調整しながら、エイダは小声で愚痴る。


「高威力の魔道具が潰されていなければ、もっと強気な策で攻められたのだがね……」


「魔人もそれを理解していたからこそ、優先して破壊したのだろう」


「そうだね。まったく困ったものだよ」


 別荘内は魔人によって壊されていたが、一部の装備は無事だった。

 エイダはそれらを見つけて回収していたのだ。

 時間的に余裕があれば徹底した破壊も可能だったはずなので、魔人達が別荘に到着したのは我々と大差ないものと思われる。


 彼らには、別荘内に保管された魔道具を奪ってこちらを待ち構えるという手もあった。

 それをしなかったのは、装備がエイダの手に渡る可能性を嫌ったからだろう。

 保管された魔道具の用途が分からず、手当たり次第に潰す方が確実だという考えもあったに違いない。


 坑道の窪みを跨いで越えたエイダは、壁や天井を調べながら呟いた。


「さて、近くに出口はないかな。魔人に見つからずに脱出できるのが一番なのだが――」


 発言の途中、不意にエイダの顔が凍り付く。

 その場で止まった彼女は前方を注視する。


 坑道の横穴から魔人が現れた。

 背の高い男が一人だ。

 顔面が焼け爛れているのは、先ほど聖水の噴射を浴びたからだろう。

 片目に至っては溶けて潰れている。


 鉢合わせた両者は互いを見つめる。

 少しの間を置いて、エイダが声を上げた。


「あっ」


「この野郎ォッ!」


 怒鳴る魔人が踏み込み、強烈な回し蹴りを繰り出す。

 鋭い一撃がエイダの腹に突き刺さった。

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