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エセ賢者と魔導書ゴーストライター  作者: 結城 からく


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第24話 追い詰められたエセ賢者

 固定されていた視点がずれて浮遊し、少女を見下ろす位置で止まった。

 身体を失ったことで物理的な制約から解放される。

 元から大して気にならない程度の縛りだったが、それすらも消えて完全に自由となった。


 破れた無数の羊皮紙は地面に散乱したままとなっている。

 少女が立ち止まって凝視しているのは、不意の修復からの反撃を警戒しているのだろう。


 もっとも、仮に実行したところで彼女に通じるとは思えない。

 あの反応速度なら、こちらが瞬時に破壊されるだけである。


 少女の持つ短剣に改めて注目する。

 何の変哲もない安物だ。

 刃にはうっすらと錆が浮いており、本来の切れ味はあまり良くなさそうだった。

 そのような武器を以て、少女はこちらの身体を破壊した。


(特殊能力による攻撃ではない。ただ切り付けられただけだ)


 ただし尋常でない速度であり、常人が彼女に襲われれば己の死を認識できないだろう。

 それほどまでの絶技であった。


 一方、エイダは羊皮紙の残骸に向けて呼びかける。


「ヴィブル!? おいどうしたんだ! こんなことで君がやられるわけがないだろうっ!?」


 まさか押し負けるとは思わなかったらしい。

 彼女の顔は動揺を隠せない。

 それでも軽率な行動に出ず、視線を巡らせて打開策を考えている辺りはさすがと言える。


 ただ、ここは策略で乗り切れる場面ではないだろう。

 少女は羊皮紙を踏み付けながら歩み、短剣を弄んでエイダに告げる。


「紙の人はやっつけたし、次はお姉さんの番だねー」


「ま、待て! 平和的に話し合おうじゃないか! 争いは良くないよ。君と私の間には何の因縁もないはずだ」


 エイダは焦った様子で説得する。

 徐々に後ずさっているも、少女が大股で接近するのであまり意味がない。

 少女は短剣を回しながら語る。


「因縁なんてどうでもいいよ。あたしは楽しく殺せたら満足だし」


「くそ、狂人は話術が効かないから大嫌いなんだッ!」


 そう叫んだエイダは踵を返し、全力疾走で逃げ出した。

 少女は軽やかな足取りで追跡する。


「お姉さーん、逃げないでよー」


「追いかけてくるな! 清楚な黒髪美少女になってから出直してくれ!」


「あたし黒髪だよー? 血の色がこびり付いてるけど」


 少女は赤黒い頭髪を掻き毟りながら応じる。

 エイダは答える余裕もなく、ただひたすら走るしかなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ただの快楽殺人鬼だったかw
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