表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/38

裏切り

 それから数日、今度は逆に真理から避けられる日が続いた。




 話しかけても「ごめん。ちょっと今は忙しい」「友達と約束があって」




 ショートメールで【都合のいい日を教えてほしい】と送るも返信もなし。




 意を決して家に行くと留守。





 しかしその翌日、学校に行くとクラスの雰囲気がおかしかった。




 クラスメイトの半数が遠巻きに僕を見ている。




 なんだ?




 自分の机を見て理由がわかった。




 『浮気野郎』『人間のクズ』『彼女を泣かせるなんて最低』『死んで詫びろ』




 そんな言葉がたくさんマジックで書かれていた。




「……なるほどね」




 その日は真理も一橋も、話しかけてこなかった。




 わかりやすいな。




 10年以上、一緒にいた仕打ちがこれなんだな……。






 今の僕には、相談相手は一人しかいなかった。




 毎日届く天満さんのIMに【相談したいことがある】と送った。




 返事はすぐに返ってきた。




【天満梨花:桜田さんが相談してくれるのをずっと待っていました☆】




 頼もしい返事だった。




【天満梨花:状況を教えてください】




 僕は、これまであったことを話した。




【天満梨花:それじゃあ桜田さんが浮気したって事になってるんですか?】




【桜田優太:うん】




【天満梨花:酷い。信じられないですね】




【桜田優太:でも、どうして真理がこんな事をしたかわからないんだ】




【天満梨花:浮気をしたと嘘をつかれた事ですか?】




【桜田優太:うん。僕が、真理たちの浮気を知ったことに気付いたのなら、普通に『別れよう』って言えば済む話なのに】




【天満梨花:証拠を掴まれてたら不利になると思って、世間を味方につけたんでしょうね】




【桜田優太:クラスメイトを味方につければ、僕が浮気の証拠を持ってても関係ないって事?】




【天満梨花:そういう事です】




【桜田優太:でも僕、証拠なんて持ってないのにね】




【天満梨花:でも彼女さんはその事を知らないです】




【桜田優太:僕は、真理にここまでされるようなことしたのかな】




【天満梨花:それはわかりません。けど、桜田さんは行動をおこさないとずっとこのままですよ】




【桜田優太:このまま?】




【天満梨花:このまま誤解を受けたままで良いんですか?】




【桜田優太:それは……よくないけど……】




【天満梨花:だったら行動すべきだと思います。もう関わりたくないのか、仕返ししたいのか。どちらにしても行動が必要だと思います】




 僕はどうしたいのだろうか。




 話がしたかった。




 話をして、ちゃんと終わらせようと思った。




 真理に、冷たく捨てられたとしても。




【桜田優太:ちゃんと振られようと思う】




【天満梨花:え? 振られる? 浮気したのは相手なのに?】




【桜田優太:真理は簡単に人を裏切るような人じゃない。きっと僕が何かしたんだと思う】




【天満梨花:心当たりがあるんですか?】




【桜田優太:ないけど】




【天満梨花:心当たりがないけど、きっと自分が悪いんだから振られたいと?】




【桜田優太:うん】




【天満梨花:誤解かもしれないから話を聞きたいとかじゃなくて?】




【桜田優太:あれで誤解だったらこの世界から浮気は消滅するよ】




【天満梨花:でも実際にエッチな事をしてるのを見たわけじゃないですよね?】




【桜田優太:心が僕にないのはハッキリしてる】




【天満梨花:だから振られて終わりにしたいと?】




【桜田優太:うん】




【天満梨花:わかりました。じゃあきっちり仕返ししましょう】




【桜田優太:え?】




【天満梨花:振られるなら一緒じゃないですか。スカッとして終わりにしましょうよ】




 そんなこと言われると思ってなかった。




【天満梨花:まずは証拠を掴んで、ギッタギタにしてやりましょうよ。数日ください☆】




 彼女から再び連絡があったのは、週明けの月曜日だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ